昨日、タルクが使いこなされていないことに触れました。
それは、多くの小児科医、皮膚科医がアトピー性皮膚炎にあまり関心を持っていないことと、早期に見つけて、治そうとも思っていないことが理由として挙げられると思います。
タルクは、学会によると、アトピー性皮膚炎と診断された症例に関して使われるべきもので、重症度の判定や、治療するとストンと低下したりしますので、治療効果の判定に使われるとされます。
当院では、3年ほど前から学会発表していますが、乳児アトピー性皮膚炎の診断に期待されると考えています。
乳児におけるタルクの基準値は、1367以下とされます。しかし、生後1、2ヶ月の乳児であっても数千から1万を超えるものまでいます。
しかし、タルクの基準値は、生後6ヶ月以降の乳児のものしかなく、生後1、2ヶ月の基準値を出してくれるよう学会に求めたのですが、手つかずのままのようです。
タルクは、アトピー性皮膚炎以外でも上昇しますが、それ以外だとかなり珍しい病気なので、湿疹やかゆみを認めればアトピー性皮膚炎である可能性は高いと考えています。
乳児期後半には、タルクは低下傾向となるようです。1万を超えるような症例はほとんど見かけなくなるように感じています。
乳児期前半に湿疹があっても、日本の第一人者の先生のところを受診するようなことは滅多にないため、この辺の研究が進んでいないように思います。
特に小児科開業医は、乳児の採血が得意なので、アトピーかどうか迷ったら採血をして評価するなんてことになれば、アトピーの診断がつけやすくなるのにと思っています。
アトピーが早期に発見できれば、アトピー性皮膚炎自体の早期介入ができるのと、食物アレルギーの予防ができるかもしれません。
ぜひ研究が進んで欲しいですが、しばらくは進まないだろうと考えており、とても残念に思っています。