今年は、インフルエンザの患者が全くみられません。
でも、インフルエンザを疑ったら、鼻に綿棒を突っ込んで検査をして診断します。発熱してまもないと検査が陰性と判断されることもあります。もしインフルエンザと分かれば、タミフルやリレンザ、イナビルといったインフルエンザの特効薬を使って治療します。
これは、ほとんどの小児科医がやっていることであり、逆にそうされないと、「おかしなことをされているんじゃないか」と不安になるのだろうと思います。つまり、親御さんの認知度はほぼ100%なのではないでしょうか?。
鼻水をもらう検査は、お子さんは嫌がりますが、小児科ではよくやる手技です。暴れると、スタッフが動かないよう押さえたりしますが、大した手間もなく簡単にできる検査です。
またタミフルなどの治療薬も、特に副作用の強いものでもなく、内服すれば、1日、2日で解熱してくれたりします。親御さんからは感謝されるし、こちらも治療し甲斐のあるというものです。
溶連菌も、のどの奥を綿棒でこすって検査し、溶連菌が検出されたら、いわゆる抗生物質がめちゃめちゃ効くので、多くの小児科医が当たり前のように行っています。
ところが、アレルギーとなると話が変わってきます。
アトピー性皮膚炎では、多くの医師が弱いステロイド軟膏を薄く塗って、よくなったら中止するということをやっています。治療としては、中途半端なのでじきにぶり返してきます。
親御さんは、仕方ないと思っているようですが、そもそもアトピー性皮膚炎にそんな治療はないので、実は医師のやり方が悪いのです。しかし、医師は自分が悪いとも思わず、やり方を変えようともしません。当然、専門医に紹介しようとも思っていません。
これは、有名な専門病院の医師であっても、徹底的にやっていないこともあるようです。であれば、多くの開業医ができなくて当たり前なのではないでしょうか?。
また食物アレルギーについても、食物負荷試験なしに正しい診療はできないとされます。その負荷試験も、専門施設は慎重に行っており、「(こんな危険を伴う検査は)開業医はやるべきではない」と言います。
となると、開業医が負荷試験をできないのは当たり前と言えるのではないでしょうか?。
(ちなみに、当院ではどうしたらリスクの低い負荷試験を実施できるかと考えながら、ずっと取り組んできたので、気持ちとしてはインフルエンザや溶連菌の検査をするような感覚で、日々負荷試験を行っています。)
このように、インフルエンザや溶連菌は、ほとんどの小児科医が、当たり前のこととして日々実践していますが、アトピー性皮膚炎や食物アレルギーは多くの医師が当たり前のこととしてできていないのが現実だろうと思っています。
アレルギーを持つお子さんは多いし、実際困っている患者さんは少なくありません。どんな医師でもできるようにしなければならないのではないでしょうか?。