これまでもそうでしたが、今年は「いき値」を意識した1年でした。
今年も、大勢の患者さんの除去を解除できました。コロナ禍で大変でしたが、普通では得難い喜びを患者の親御さんと共有できたと思っています。
食物アレルギーは、これ以上食べると症状が出るという「ボーダーライン」のようなものがあって、ボーダーライン以下で食べれば、症状は出ず、そのラインをちょっと越えると軽い症状、大幅に越えると、アナフィラキシー を起こすと考えると理解しやすいと思います。
ボーダーライン以内で食べていると、「いき値」は上がっていくようです。ですから、医師は「少量ずつ食べさせろ」と言うのですね。
まったく食べていないと、ボーダーラインがどれくらいかが分からないので、専門医でない小児科医は、何のアドバイスもなく「少しずつ食べさせなさい」と言います。こういう医師はかなり多いので、注意が必要です。
一方、専門医は負荷試験をやった上で、この程度なら食べられるという根拠をつかんだ上で、「これを超えないように食べさせなさい」と言います。
親御さんは、食べさせるのが怖くて仕方ないので、専門医にかかった方が安全に食べさせることができると思います。
コロナ禍で患者が減り、小児科開業医は、これ以上患者を減らしたくないと、専門医に紹介しないことも多いようなので、私から言わせれば、同じ「少しずつ食べさせなさい」でも危険な場合と、安全な場合があることを理解していただきたいと思います。
気づいたら、もう大晦日。今年もお世話になりました。2021年もよろしくお願いいたします。