食物アレルギーは、少し食べると軽い症状、多く食べると重い症状というように、用量依存というところがあります。
少し食べても症状は出ず、多く食べて初めて症状が出る人もいるでしょう。その患者さんにとっての症状の出る量が決まっていて、それを超えなければ発症しないということだろうと認識しています。
以前は、どうにでも卵1個、牛乳200ml、うどん200gを食べさせるという感じの負荷試験でしたが、最近の学会は「少量」、「中等量」、「日常摂取量」と3段階に分けています。
当院は、卵ですと「卵クッキー」、「カステラ」、「卵焼き」というように3段階に分けて負荷試験を行なっています。かなり以前から「こうすると、無理なく食べられますよ」とこの方法を学会発表していたのですが、それからだいぶ経ってから、少量、中等量、日常摂取量という考え方が浮上してきました。
学会は、「少量」さえも食べられないと、「完全除去」を推奨しています。この考えに一言申したい。
食物アレルギーは、食べさせると、もっと食べられるようになることが多いため、勝手に「少量」と決めて、それが食べられないと、全く食べてはいけないというのは、これいかに。
当院では、最初は卵クッキーを使うことが多いですが、目標量が食べられなかったとしても、食べられるであろう量を設定し、わずかだろうが卵クッキーを食べるように指導していました。10年以上前からです。
最近、専門医の間で「少量」を食べられない場合、完全除去にはせずに「微量」を負荷してみるという試みがなされているようです。
これもだいぶ前から学会発表していたのですが、専門病院の先生は聞いてはくれていなかったようです。
私も食物アレルギーにはこだわり、何とか治って欲しいと願って、負荷試験にこれまで取り組んできました。かなりの情熱を持って、対応してきたつもりです。安易に完全除去なんてすべきではないと確信していました。
食物アレルギーの治療の進歩を願う患者さんは少なくないと思いますが、そのあゆみは親御さんが思うほどにはやくはないと思っています。