当院は、食物負荷試験にこだわっています。
個人的に負荷試験を始めて20年になります。その間、いかに食べられるようにするかにこだわってきたつもりです。
要は、アレルギー採血の結果が陽性だから、除去という指導が当たり前だった時代から、何かしら食べさせる努力を続けてきて、完全除去にはしてこなかったのです。
そして、いかにアナフィラキシーを起こさないようにするか、という大事な点に関しては、ここ3年間で1回でした。その1回もちょっと欲を出して「もう少し食べさせたい」と思ってしまったので、悔いは残ります。
ただ、これまで多くの負荷試験をこなしてきて、アナフィラキシー を起こさないようにするノウハウも習得できてきたのかなと感じています。
そして、いつも言っているように、食物アレルギー最大の攻略ポイントは、低年齢から食べさせること。0歳からがベストです。これだとほぼ全例治るのかなと感じています。
食物アレルギー関係のホームページには、食物負荷試験実施施設として、全国のどの病院がどれだけの数の負荷試験をやっているかという情報が掲載してあります。当院のような開業医は、載せられていません。
例えば、プロ野球の打撃部門では、選手が打率やホームラン、打点など競っています。そういう目で見ると、負荷試験実施施設がどれだけ負荷試験をやっているかという情報は、選手がどれだけバッターボックスに入ったかという情報だけで、どれだけ優れた成績を残したかは分かりません。
少なくとも、野球に関していえば、打数が多いということは、怪我なくレギュラーで頑張っていることは示していても、打率やホームランでいい成績を残しているかは分からないことになります。
アナフィラキシー を起こしていないとか、どれだけ卵焼きや牛乳が摂れるようになかったという大事な内容が患者さんは何も分からないということになります。負荷試験をやっているけれど、アナフィラキシー も多いということであれば、やり方に問題があるのかもしれません。
ガンなどだと病院別に5年生存率という、患者さんにとって最も大切な情報が提供されるようになってきています。数字が悪い病院は、公表したくはないのではと思うのですが、ネット上で見ることができます。
食物アレルギーで困っている患者さんは少なくありません。これだけのネット社会で、情報は手に入れやすくなってきてはいますが、「打数」だけでは患者さんに有益な情報ではないと思っています。