小児科 すこやかアレルギークリニック

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変遷
2021年02月03日 更新

食物アレルギーは、卵が最多とされます。

当院は卵アレルギーの治療にこだわっています。一番多い病気をいかに治していくかと常に考えています。

卵クッキー、カステラ、卵焼きと3段階に分けて負荷試験をやっている訳ですが、正直「変えようがない」と思っていました。開業してから13年半、工夫はしてきましたが、基本的な方針は変えていません。

面白いことに、その間に学会の方針は、言ってしまえば二転三転しています。

「完全除去」という、アレルギー症状を起こすような人は、加工品も含めて除去の方針を支配的でした。そして、全く逆の方針が生まれます。「急速免疫療法」。

これは2週間とか、短期間で食べさせていく方法です。入院の上で、ガンガン食べさせていくと、結構クリアできるようになります。

ところが、ちょっと食べないと元に戻ることが多いことが分かり、しかもアナフィラキシー を伴うこともあり、いわゆる“荒療治”的なこの方法は廃れてきます。

代わって、ゆっくり増やしていく「緩徐免疫療法」が主流になってきます。ゆっくり増やしていくので、アナフィラキシー は起きにくくなってきます。

さらに、卵アレルギーだと卵焼き1個、牛乳アレルギーだと牛乳200mlという目標を目指してきた訳ですが、重症な患者さんは治りにくいため、高望みせずに「少量」を摂らせる方法に代わってきました。「少量」摂れると、「中等量」、さらに「日常摂取量」を目指します。

最近は、無理をして増量しなくても、いき値が上がることが多いので「食事療法」が主流になってきています。ようやくアナフィラキシーを起こさないようになってきたのです。

さて、当院の方法はどうだったかというと、開院当初から段階的に「食事療法」をやっていました。開業医の立場として、安全に行うには、基本的にこの方法で間違っていないと捉えていたのですが、まさにその通りになっているように感じています。

学会の推奨する食物アレルギー治療の変遷を辿ってみると、流行り廃りがあって興味深いと感じます。ある意味、その時代時代のやり方に、言い方は悪いですが、振り回されると言えなくもないのですが、当院は「初志貫徹」という感じでしょうか?。

私の食物アレルギーに対する感覚は、間違っていなかったのかなと思っています。