今月の学会のオンライン発表で、上記のデータを発表しています。
アトピー性皮膚炎があって、当院を受診された赤ちゃんは、経皮感作を受けやすく、卵、乳、小麦の順となっています。
まず、アトピー性皮膚炎の治療をしないと、更に経皮感作が進行してしまうと困るので、アトピー治療をしっかりと行います。
あわよくば、経皮感作を阻止できればいいのですが、受診のタイミングだったり、アトピーが重症だったりすると、完璧に抑えることは難しいようです。
皮膚治療をしても、それなりの確率で卵、乳、小麦の感作を受けてしまいます。こういう患者さんは離乳食開始時に食物アレルギーを発症する恐れがあるので、当院では負荷試験を行っています。
そうすると、感作を受けた赤ちゃんのうち、95%は問題なく食べられるようになっていました。
年齢の上の重症な食物アレルギーを持つお子さんだと、なかなか治すのが難しく、例えば95%が治らないなんてことはあり得る話だと思っています。乳児期から食べさせるようにすると、正反対の割合で、ほとんどが治ってしまうという話です。
これは、専門でない小児科医が抗体価が下がるまで除去しなさいなんて言っているやり方ではなく、積極的に少量から食べさせて、積み重ねていった結果がこういうことです。
つまり、「他力本願」ではなく「自力本願」により、食物アレルギーの運命を切り開くとこうなると言ってもいいと思っています。
食物アレルギーに関わる全ての小児科医がこういう治療をしてくれたら、日本の食物アレルギーの患者さんは相当減少するのではないかといういことです。
そういう時代がいつかやってくるのでしょうか?。