私は小児科医です。
子どもに多い病気を診ているのですが、風邪だったり、胃腸炎だったり、溶連菌、インフルエンザなどの感染症を診る機会もあります。
当院は、ぜんそく、アトピー性皮膚炎、食物アレルギーなどの「慢性疾患」にもチカラを入れていますが、それに対し、風邪などの感染症は「急性疾患」に分類されます。
昨日、“誤診”について触れましたが、風邪や胃腸炎はまだしも溶連菌やインフルエンザを的確に診断できなかったらどうなるでしょうか?。こじれて重症化するのかと言えば、そんなことはほとんど無いであろうと考えます。抗生剤や抗インフルエンザ薬を使わない分、治りはやや悪いかもしれませんが、最終的には治ってしまいます。
つまり、“誤診”されても、じきに治ってしまう訳です。
一方、アレルギーはどうでしょうか?。急性疾患のように、ちょっと治りが遅いくらいで済めばいいのですが、経験上、病気自体がこじれていくものと思われます。
実際、ぜんそくは「風邪」、アトピー性皮膚炎は「乳児湿疹」と“誤診”されることが多いのですが、当院は毎日のように先ほど言ったことを経験しています。
私が毎日“誤診”しているという意味ではなく、他の医療機関で“誤診”されている患者さんが当院に救いを求めて受診され、いろいろ話を聞いてみると、“誤診”されてこじれて、治りづらくなっていることを経験します。
特にアレルギーは、“誤診”してはいけないことを実感させられているのです。ぜんそく、アトピー性皮膚炎については触れましたが、食物アレルギーの場合の“誤診”とはどういうことでしょうか?。
それは少しは食べられるのに、「完全除去」を指導されてしまうことではないでしょうか?。親御さんは子どもを守ろうと必死に除去するのですが、逆に食べるチャンスを失い、食べ慣れることを遠ざけ、食べることに対し恐怖心を植えつけてしまいます。
ぜんそく、アトピー性皮膚炎、食物アレルギー、どれも“誤診”は親御さんにとっての「最大の敵」ではないでしょうか?。