先日、開業の先生から紹介がありました。
当院が開業して14年、紹介は初めてです。すると、驚いたというか、「やはり」というか、小児科と皮膚科を4、5軒回っていました。
いつも通りの話ですが、“乳児湿疹”などと言われていて、実はアトピー性皮膚炎なのですが、誤診により過小診断、過小治療となり、おまけに「経皮感作」まで受けて食物アレルギーまで悪化していたのです。
医師は、誤診してペナルティはないし、専門医に紹介しなくても、何も咎められることもありません。患者さんは一方的に信用しているので、その“信頼”がなくなるまで、患者さんはひたすら通院することになります。そして、「成功報酬」が支払われます。医師も、悪い気はせず、つい通わせてしまうのでしょう。
例えば、最近できたラーメン屋なら、味が気に入らなければ、また近くの食堂に入り、ちょっと応対が気になれば、行かなければいいという選択を取るのでしょうが、医院については、「そういうもの」とか「仕方ない」と通うことも少なくないようです。
医師が4、5軒も誤診するというのは、どこに問題があるのでしょうか?。
医師が、これまでずっとアトピー性皮膚炎を“乳児湿疹”と誤解してやってきたというのもあるでしょう。これだと「誰が何と言おうと、“乳児湿疹”でしょう」となります。
治療して良くならなければ、「“乳児湿疹”ではないのではないか?」とか「専門医に紹介しよう」となるのでしょうが、そう考えるケースはほとんどないようです。多分ですが、「こんな湿疹を紹介するのは恥ずかしい」って考えもあるのではないかと予想しています。
各医師に問題があると言いたいところですが、そこまで高確率に誤診されているとなると、総元締の「学会の指導に問題がある」という考えも生じてきます。
当院の分析では、アトピー性皮膚炎はかなりの確率で生後1、2ヶ月に出てきて、生後3、4ヶ月で卵アレルギーが生じてきます。経皮感作によるものと考えています。
この辺の知識を持ち合わせていない医師がほとんどで、学会も注意すべきポイントだとは言っていません。
現在、一部の専門病院で生後1、2ヶ月の湿疹に対し、早期に介入することでアレルギーを予防できるかという研究が行われていますが、結果が判明するまで、多分オープンにはされないでしょう。となると、もしかしたら、数年は学会のリードも何もない状況が繰り返されるものと思われます。
学会にも問題がありそうだということになるのですが、そもそも自分のお子さんの湿疹を良くしようと必死に何度も通う親御さんに“乳児湿疹”だと繰り返す医師のモラルに、私は一番問題があるのではないかと感じています。