先日、ある園に通うお子さんが当院を受診されました。
発熱と咳、鼻汁でした。と聞けば、園で熱のお子さんが15人もいるそうです。原因は特定されておらず、園で15人も発熱者がいるため、保健所が調査に入ったとも言っていました。
1、2日前にその子の通う園の別のお子さんが溶連菌だったので、溶連菌を調べてみましたが、陰性でした。園の先生も不安だろうと、新型コロナの抗原検査をやることにしました。
私の地元はコロナ患者はほとんど出ておらず、念のためというつもりでした。コロナが陰性だったら、周りでは聞きませんが、全国的に流行しているとされるRSウィルスを調べるつもりでした。
親御さんもお子さんの発熱の原因を知りたいだろうし、園で原因不明の発熱が流行っているのなら、分かる努力をするつもりでした。
新型コロナの検査を待っている間、医院の電話が鳴りました。電話はその子のお母さんからでした。今回連れてきたのは、お父さんだったのです。
保健所が入ったからか、発熱の原因が分かったと言うのです。RSウィルスということでした。
ちょうど調べようかとしていたところでした。そういうことでしたので、RSを調べたら、陽性。
RSウィルスは、かなり感染力が強い感染症なので、園で15人も発熱している原因はRSウィルスなのだろうと考えています。
もうちょっとタイミングがずれていたら、当院が多発する発熱児の原因を解明していたのに…汗。
全国的にRSウィルスが結構流行っているそうです。保健所が介入したケースは他にあるかどうか分かりませんが、全国的にRSウィルスが原因だと気づかれるのは、時間が経ってからだと思われます。
今回の園児は、2歳でした。そこがポイントです。
独特の保険診療のシステムなのですが、医師が外来でRSウィルスの検査をすると、0歳児のみ保険診療となり、1、2歳となると保険診療とならず、自腹になってしまうのです。
特に開業医は、率先して損をすることを嫌います。患者さんは、かかりつけ医を聖人君子のごとく考えているし、信じたいと思っているようですが、これが現実です。
実際、某市から受診した親御さんが言っていましたが、今回の話ではないですが、0歳児のクラスだけRSウィルスと診断されていて、1歳児、2歳児のクラスは原因が特定できていないという話でした。
多分、幾つもの小児科医院が関わっていると思いますが、誰も損をしたくないので、どの医院もRSを調べていないという残念な話です。
日本の小児医療、こんなでいいのでしょうか?。