先日、かなり離れた街から新規の患者さんが受診されました。
食物アレルギーの相談だったのですが、アトピー性皮膚炎も見逃されていました。お薬手帳を持参されていたので見てみると、ぜんそくの薬が処方されていました。
主治医からぜんそくがあるとは言われていないし、食物アレルギーを予防する薬と言われ、延々と処方されていました。
母からの情報なので、違う目的なのかどうかは分かりませんが、食物アレルギーを予防するため、ぜんそくの薬を使うなんて初めて聞きました。
日本の医療の悪いところは、主治医を裏切るかのようで嫌われているのか、セカンドオピニオンがなかなか普及しません。
特に小児科はアレルギーも感染症も、心臓も呼吸器も腎臓も子どもに関する全ての分野を扱います。患者さんからすれば、全ての分野に精通していると信じているので、医師を信じるというのが基本になっています。
これだけ医学が進歩すると、一人の医者が全ての分野をハイレベルに対応することは不可能です。特にアレルギーは、手間がかかるので、医師からは嫌われている分野なのに、医院の看板を見てみると「アレルギー科」なんて掲げられています。
患者さんからすれば、全面的に医師を信用するしかなく、患者側から異論も反論も出ることはまずありません。となると、医者の言うことは全て正しいということになってしまいます。つまり、教祖さまになってしまうのです。
先程の、食物アレルギーを予防する薬だと医者が言えば、そうなってしまいます。他の医師にかかるまでは、それが本当のことになってしまいます。
これは患者さんにとっては、かなり危険な状況です。誤診により、誤った道に誘われてしまうかもしれないのです。
特に周囲を見ていると、病気がこじれてから、当院を受診されることが多いようです。アレルギーは、適切に診断され、治療しないと悪化するクセがついてしまうと考えています。
「信じる者は救われる」という言葉もありますが、信じても救われないことも結構あると考えていた方がよろしいかと思っています。