一般的に有数の専門病院は、正しいことをしていると思われていると思います。
多くの場合、それは間違いではないと思いますが、食物アレルギーの場合はどうでしょうか?。
食物アレルギーに長年携わってきて、だいぶ真相が見えてきたように感じています。食物アレルギーでやってはいけないことは、「除去しなさい」と言うことだと思っています。
患者さんは、医師の言うことは絶対だと思っているし、「除去しなさい」と言われると、ほんのちょっとのミスでアナフィラキシー を起こしてしまうので、常にわずかでも食べさせないように気を張った日々を過ごすことになります。
卵なら卵、乳なら乳製品を目の敵にするようになり、与えるのが怖くなってしまいます。「完全除去」とは1ミリのミスも許されないということ。
これは経験上、理解していることですが、0.1gであろうが、0.1mlだろうがわずかでも食べられることが分かれば、“食べている”ことは事実であり、「完全除去」する必要がありません。
「うちの子は、わずかでも食べられる」という気持ちは、とても大事なことですし、それがより食べられるようになる刺激に繋がる可能性もあります。
検査で卵白やミルク、小麦の項目が陽性だった場合、多く食べると症状が出る可能性があります。どれくらい食べて症状が出るかは、人によって異なるため、負荷試験をやるしか方法はないと思っています。
先日、負荷試験を受けにきた患者さんのカルテを開くと、この1ヶ月で3回目の負荷試験でした。家でも安全に食べてもらうために、どれだけの量を食べられるのかどうかを判定しようとしています。
さて、日本には食物負荷試験をやっている医療機関は限られ、専門施設に患者さんが集中している現状があります。今はどうか分かりませんが、ちょっと前は負荷試験のために3ヶ月待ちだとか、5ヶ月待ちだなんていう専門病院もありました。
負荷試験を受けるまでの、3ヶ月なり、5ヶ月の間は除去が基本になると思います。その間は、ひたすら食べさせないようにし続けることになります。
私は、これは正しいことだとは思いません。自分で言うのも何ですが、よほど有名な病院よりは正しいことをやっているという自負は持っています。