イギリスに小児科医をやっているラック先生というドクターがいます。
欧米では、ピーナッツアレルギーで命を落とす人も少なくなく、多くの研究者がその解明に挑んできました。
その方法として、母親や本人にピーナッツを食べさせないという方針は、ある意味分かりやすいかと思います。アメリカで、「とりあえず、ピーナッツの摂取を控えさせよう」ということになりましたが、何と逆にピーナッツアレルギーが増加に転じたそうです。
他に理由があるはずです。
そこでラック先生の登場です。イギリスでは、乳児期の湿疹に保湿剤を塗る習慣があるのだそうですが、ピーナッツアレルギーの発症には、保湿剤の中にピーナッツオイルを含むことが関係していることをつきとめました。
そこで、食べ物が皮膚から入るとアレルギーを引き起こすのではないか?と言い出したのです。
私のような凡人なら、そこでおしまいとなるのだと思いますが、皮膚から入る食べ物はアレルギーを起こすが、口から入る食べ物は受け入れるという「二重抗原曝露仮説」を打ち出しました。
そこから食物アレルギーの世界が大きく動き出すことになります。1人の研究者の発見が大きな変化をもたらすことになります。
私はラック先生は天才なのではないかと感じています。