今はたまに見かける程度ですが、今年はずっとRSウィルスが流行していました。
当院は、アレルギーのお子さんを多く診ているため、発熱した患者さんを特別枠に集めて診療しています。
前もちょっと触れましたが、少し前は高熱のお子さんが大勢受診され、そのほとんどが RSウィルスでした。
一度診察した上で、鼻水をもらって検査をして、その結果を伝えなくてはなりません。1人あたり2回対応しないといけないため、ただでさえ受診が多いのに、その2倍の時間を要するという感じでした。
RSウィルスを検査しない医師も多いと言っています。それは経営上の問題だったりしますが、私自身も知りたいし、親御さんに正しい診断を提供したいと思っているので、実際に検査をしていますし、今回のRSウィルス感染症の特徴は理解しているつもりです。
典型的なRSウィルス感染の状態は、熱が出て、痰がらみの咳、とめどない鼻汁、時にゼーゼー、ヒューヒューしたりします。
今年は、熱がまったくないのに、周囲でRSが流行しているということで調べてみると、陽性に出ることが多かったです。
例年だと、痰の分泌が多く、呼吸困難をきたすこもいるのですが、あまり見かけず、熱の際立つ子が多かったです。熱は2、3日で下がることが多い印象でしたが、今年は5日以上下がらない人が多かったと感じます。
それにしても、発熱した児を集めて診ると、ここまでそのほとんどがRSウィルス感染症だったことは経験がないように思います。
ちなみに、昨年はRSウィルスは1人もいなかったように記憶しています。ネットニュースでは、RSウィルスが全国的に流行しているという話でしたので、RSウィルスが凶暴化しているかのように感じています。
今はRSウィルスの子を診る機会は少なくなっていますが、その代わりに猛威を振るっている感染症がいます。それは「ヘルパンギーナ」です。去年はほとんど見かけていません。
夏風邪の一種で、熱が出て、喉の奥にブツブツができる病気で、数日で回復してしまいます。最近の発熱者のほとんどがヘルパンギーナとなっています。
RSウィルスのように今年はとりわけ熱が下がらないなどという印象はないのですが、ある日は発熱の8割以上がヘルパンギーナでした。
コロナ禍で、RSやヘルパンギーナを起こすウィルスが実際に凶暴化しているのかどうかまでは分かりませんが、何らかの変化を来しているように感じています。お気をつけください。