先日、ゼーゼーするという小学生が当院を初診されました。
他の小児科でぜんそくと診断されていたそうですが、継続的な治療はなかったようです。ぜんそくは慢性の病気なので、よほど軽症でなければ、継続的な治療がないなんて有り得ないと思っていますが、こういう医師は意外といます。
医者の世界は、医師の裁量権がものすごく大きく、どんな治療をしても認められるという不思議な世界です。
私がぜんそくの患者さんに継続的に薬を処方しているのは、ぜんそく発作を起こして苦しくなるのを分かっているのに、それを防がないのはおかしいと思っています。しかも、ぜんそくは症状を繰り返せば、どんどん悪化していく傾向にあるので、尚更です。
今回の患者さんの場合では、最悪のことが起こりました。
痰が、とにかく作り出されやすくなってしまっていたのです。常に気管支に痰が溜まった状態で、普通に呼吸するだけで痰が震えてゼーゼー言うようになっていました。
普通は、痰があると呼吸に邪魔なので、強い咳をして痰を吹き飛ばそうとするのですが、もう慣れっこになってしまったのでしょうか?。咳もほとんど出ない状況でした。
呼吸機能検査をやってみると、細い気管支は50点あまり。かなり悪い数値です。
通常は、「苦しい」と感じるはずですが、低酸素に慣れると、苦しさを感じなくなったりすることがあります。そういう状態だろうと判断しています。
おそらく日頃からぜんそく発作を繰り返し、それを放置していたため、こんな状態になったのだろうと推測しています。こういう患者さんは当院でも診ることはほとんどありません。
親御さんはその小児科に通っていましたが、信じたいと思うのでしょうが、もはや信じてはいけないレベルです。この状況が治るのかどうかは、さすがに分かりません。
治ると信じて、ガイドラインに沿った治療をしていくほかはありません。