先日、ある患者さんが当院を初めて受診されました。
皮膚の状態も悪く、卵アレルギーもある状況でした。ただ、診ていたかかりつけの開業医が別の専門医に紹介して、卵の負荷試験の予定が入っていたそうです。
「どういう理由で当院に?」って気になりましたので、親御さんに疑問を投げかけてみました。皮膚は治療していて、卵も負荷試験を受ける予定となれば、当院に何を期待するのかを聞いておく必要がありました。
「よく診てもらいたい」というのがその理由でした。そういうことでしたか…。
何と、皮膚については診断名すら告げられず、キンダベートなどの弱いステロイド軟膏がちょっと処方されているだけでした。
実は、アトピー性皮膚炎がありました。敢えて言えば、アトピー性皮膚炎を診断できない医師は、まともに治療できないということです。
まず皮膚を十分にキレイにしておかないと、負荷試験には移れないはずです。負荷試験途中に皮膚を掻いたとすると、それが食べ物のせいなのか、皮膚の治療が不充分だからなのか分からないことになります。
負荷試験の判定ができるようになるだけでなく、ガッチリと皮膚治療をすると、卵などの抗体価が低下することがよくあります。つまり、負荷試験の成功率が上がるかもしれないのです。更にこれから起こるかもしれない経皮感作を抑えたいとも考えています。
負荷試験先の専門医も「皮膚はキレイにした方がいい」と口で言うだけで、「私が責任を持って診ます」とも言いません。
そもそも、親御さんはステロイド軟膏に対して慎重なお考えをお持ちのようです。
であれば、ステロイド軟膏の誤解を解いた上で、アトピー性皮膚炎の診断も説明して、ステロイド軟膏の塗り方も指導して、皮膚の状態を良くしてから負荷試験にのぞむ必要があります。
皮膚の状態が悪い患児を診た場合、私は言い方が悪いですが、前医からぶんどってでも自分で安定させたいと考えます。その方が患者さんの幸せに繋がるから。
と言うことです、すべて当院で対応することになりそうです。
負荷試験をやるような医師も、どうしたら食べられるようになるか?、どうしたら成功率を上げられるか?をよく考える必要があります。多分、私と同じことをやる必要があるはずです。
もはや食物アレルギーは、アトピー性皮膚炎の治療と切っても切れない関係にあることを、食物アレルギーを持つ子の親御さんは知るべきでしょう。