先日、ほぼ10年ぶりに当院を受診された高校生がいました。
診察室に入ってきて、すぐに受診理由が分かりました。体は分かりませんが、顔が重いアトピー性皮膚炎だと物語っていたからです。
ほぼ10年前のカルテに目をやると、アトピー性皮膚炎の治療をしていました。症状が落ち着いてもいないのに、突然受診が途絶えていました。
聞けば、アレルギーが専門でない小児科にかかっていたと。おそらく当院の長い待ち時間を嫌ってのことだろうと推測します。本来ならそういう医療機関で治療を受けるメリットがないからです。
一言言わせていただくと、アトピー性皮膚炎の治療は時間をかけなければなりません。多くの患者さんが不安視しているステロイド軟膏について、使うメリット、デメリットを理解した上で継続的に塗布する必要があるからです。
それをしていない小児科に移ったということは、正当な治療を受けられないことを意味します。軟膏だけもらって、短時間で済ませられるのは、親御さんにとってある意味、メリットがあるかもしれませんが、患者さんにとっては全くメリットはないということだろうと思います。
それはいいとして、10年間適切な治療を受けていないと、皮膚は猛烈に悪化し、難治化すると思います。まさにそんな感じでした。
おそらく親御さんはまた受診しなくなる恐れがあります。患者である高校生には、仮に親が受診しようとしなくなっても、あなたが治療を続けたいと言えばいいというニュアンスの話をしました。
あとは、高校生にもなると結構忙しいと思いますが、患者さん本人に「続けたい」と思わせる治療を提供すればいいのかなと思っています。