先日、紀伊国屋書店で買ってきたアトピー性皮膚炎の本を読んでいます。
ある皮膚科の開業医の先生の書かれた本です。長年アトピー性皮膚炎を中心にした診療をされているそうです。
その先生も本の中でおっしゃっていますが、長年アトピー性皮膚炎に特化した診療をしていると、見えてくるものも多く、エキスパートになれるということです。その先生のこれまでの診療の集大成という感じの内容でした。
私も長年小児のアレルギー診療に携わっており、「本当っ!?」という部分もありますが、「なるほどー」ってところもあります。
中でもうならされたのは、小児アレルギー症候群のくだりでした。「風邪」って「かぜ症候群」とも言われますが、発熱や咳、鼻汁、咽頭痛、頭痛、全身倦怠感などいわゆる“風邪”症状をきたすものが「風邪」と診断されます。
子どものアレルギーについても、アトピー性皮膚炎は何か難治の重い皮膚疾患だと捉えられていて、ぜんそくや食物アレルギーもそれぞれ特別なアレルギー疾患であり、たまたま合併しているように捉えている人も少なくないかもしれません。
実は子どものアレルギーは、日本人が発見した「アレルギーマーチ」のごとく、アレルギー体質を遺伝したお子さんが、皮膚症状は「アトピー性皮膚炎」、呼吸器症状は「ぜんそく」、鼻症状が「アレルギー性鼻炎」、眼症状が「アレルギー性結膜炎」という形で合併しやすいのです。
体質を持った人が軽い“湿疹”だと「乳児湿疹」や「乾燥肌」などと診断されており、アトピー性皮膚炎はより重い湿疹の場合しかアトピーと診断されていないように感じます。
本当は、軽度な“湿疹”でさえもアトピー性皮膚炎であり、そっちの方が頻度が高いのです。
そういう人は食物アレルギーもぜんそくも合併しやすいので、子どものアレルギーを「小児アレルギー症候群」と捉えて、アトピー性皮膚炎を疑ったら、食物アレルギーやぜんそくを心配し、早期発見・早期治療に努めましょうと主張されています。
これは「そうだよなぁ」と感じました。皮膚科医はだいたいアトピーの皮膚しか診ないので、こういう発想をする皮膚科医もいるのだと驚かされました。
この先生、アトピー性皮膚炎の診療が大好きなんだろうなと感じながら、今も読んでいます。