食物アレルギーの治療に“除去”が大切だし、当然だと思っている人は多いと思います。
ある赤ちゃんの話です。生後1ヶ月から“湿疹”があり、皮膚科にかかっていて、よくならないため生後6ヶ月になって小児科に鞍替えします。
そこで採血を受け、卵がクラス4、ミルクがクラス3のため、卵とミルクの除去を小児科医から指示されます。ちなみにミルクはそれまで飲むこともあり、何ら症状はありませんでした。
1歳になり、アレルギー採血を再び行うと、卵がクラス5、ミルクがクラス5となっており、さらに半年除去するよう指導され、「このままでいいのか」と数10キロ離れた当院を受診されました。
こんなケースでは、日頃から除去が良くないと言っているつもりです。牛乳で負荷試験をしてみると衝撃の結果でした。
何とわずか0.5mlで発赤が見られ、再度0.5ml摂らせるとまぶたの発赤、さらに0.5mlの追加でじんましんと声のかすれも見られました。
医師から除去を指示され、この半年頑張って乳の除去を行ってきましたが、普通に時々飲んでいたミルクがわずか0.5mlでも症状が出るくらい悪化していたのです。
現在、乳は微量の摂取を続けており、卵は食べられるようになったものの、乳の解除はかなり困難な状況です。おそらく生後6ヶ月の時に乳を除去せずにそのまま摂っていれば、少なくとも現在のような苦労する状況にはなっていなかったと思われます。
食物アレルギーの“除去”について、一石を投じることになるようなエピソーではないでしょうか?。