小児科 すこやかアレルギークリニック

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「治すものではない」
2022年03月03日 更新

昔の食物アレルギーの治療を考えると、隔世の感があります。

とにかく除去の時代から、食べられるものは食べさせるという風に180度変わった訳ですから。

ふと、アトピー性皮膚炎の治療はどうだったっけ?と思い、1990年代の教科書を手に取りました。

乳児の湿疹の対応は、食事制限が基本に書かれています。確かに、こう言った赤ちゃんを調べてみると、卵や乳、小麦などが複数に渡り抗体陽性になるので、これらを摂ると湿疹が悪化すると盛んに書かれています。

昔は、例えば卵を2週間除去して、皮膚の改善があり、再び卵を食べさせて悪化があれば、卵を除去するものだと書かれています。

この皮膚の変化は明らかという場合もあったかもしれませんが、医師の判断(思いこみ!?)に基づくので、医師がそう感じれば、長い期間卵を除去することになります。

ビックリするくらい食物除去にスペースが割かれており、いま主流のステロイド軟膏はどう書かれているかと言うと、「ステロイド軟膏はあくまで一時的に皮膚炎を抑え込むための薬剤であり、これを使って治すものではない」とやや強い口調で書かれています。

そりゃ、当時の私や他の医師も従うしかなかったのかなと思ってしまいます。医療って、以前との対応が180度違うというようなことって、ありますからね。

敢えて言えば、当時の治療では良くなるものも良くならなかったということになってしまうと思います。タイムマシンに乗って、私の関わってきた患者さん、ひとりひとりに謝って、治療し直させてもらいたいと思いくらいです。