食物アレルギー診療ガイドライン2021が発刊されました。
先日も触れましたが、少しずつ食べさせて食べられるようにすべきなのに、どういう訳かエビデンスレベルがD判定という衝撃の記載があることに、正直違和感を覚えます。
ガイドラインでは「少量」、「中等量」、「日常摂取量」と3段階に分けています。「少量」を食べられれば、「中等量」を目指し、「中等量」食べられれば、「日常摂取量」を目指すのは、いいことだし、そうすべきと考えています。
個人的にこれもある意味“衝撃”なのですが、「少量」を食べられないと完全除去という記載があります。私としては、これは受け入れ難いです。
少し食べさせると、食べられる量が増えることを、「いき値が上がる」と言うのですが、「少量」を食べているといき値が上がって「中等量」食べられるようになる。「中等量」を食べ続けるといき値が上がって「日常摂取量」を摂れるようになる訳です。
これは「少量」でも全く同じことが当てはまるはずです。「少量」が摂れなければもっと少ない「微量」でも摂れるようにすべきです。
そこを完全除去にしてしまっては、治るチャンスを逸しているように感じます。そこはまだ研究段階だとか、エビデンスがないとか言いたいのでしょうが、私の場合は目の前の患者さんをどうしたら治るか悩む抜いて到達した境地が、少量がダメなら「微量」、「微量」がダメなら「ごく微量」という考え方です。
例えば、牛乳を2、3ml摂れなければ、完全除去と言われると、当院のような開業医でも何人も改善除去に当てはまります。
ガイドラインに沿っていては、治してあげられないケースも出てくると感じています。もう少し一皮向けて欲しいと考えるのは、私だけではないと思っています。