イギリス人のラック先生が打ち出した「二重抗原暴露仮説」というものがあります。
食べ物は皮膚からではアレルギーを引き起こし、口からだと寛容に働くというものです。
これを用いると、食物アレルギーの対応は大きく分けてふたつ挙げられると思います。アトピー性皮膚炎の湿疹から刺激を受けるので、アトピー性皮膚炎のの治療をしっかり行ってその刺激をブロックするのと、少しずつ食べさせて体に慣れさせていくというふたつです。
当院はいかに食物アレルギーを減らすかという大きな課題に長年取り組んできたため、経験上言わせていただくと、どちらも非常に有効です。
逆に言えば、アトピー性皮膚炎を「乳児湿疹」などと診断され、過少治療を繰り返していると、経皮感作を受けやすくなりますし、採血で抗体が陽性だったり、食べて症状が出たりしたことで「食べてはいけません」なんて言われてしまうと、食物アレルギーが治らない方向に進んでしまう可能性があります。
これまでは多くの医師がこういった対応をしてきました。食物アレルギーはどんどん増えてしまう可能性が高い訳です。
これまでやってきたこととは、真逆のことを行うことは、医師にとっては大きな勇気が必要になります。長年やり慣れた方針を切り替えることは簡単ではなかったりします。
私はもっとこのふたつのテーマを追い求めていきたいと考えています。