アトピー性皮膚炎の「ピンキリ」を考えてみたいと思います。
「キリ」は最重症のアトピー性皮膚炎となり、医師なら誰でも診断できるくらい症状は典型的で、非常に重いものを指すと思います。
一方、「ピン」ですが、これは見分けるのが非常に難しいと思います。
例えば人間ドック。ガンなどを早期発見するのが目的です。どこにも痛みなど症状が出る前に見つけようとするし、場合によっては胃カメラなどでその部分の組織をとって悪いものかどうか精査します。
早期発見、早期治療に結びつけるためには、仕事を休んで人間ドックを受け、分かりにくい病気を見つけ出しにいく訳です。
アトピー性皮膚炎の場合は、湿疹という形で出ますので、わずかな湿疹を見逃さないようにしますし、痒みが特徴なのですが、早期だと痒みが定かでなかったりします。
医師の間では「乳児湿疹」という便利な言葉があるため、そう診断されてしまい、アトピー性皮膚炎の早期発見、早期治療が妨げられていることも残念ながらよく目にします。
この分野はこだわって診療しているつもりですが、「ピン」の状態で発見し、治療につなげることで、アトピー性皮膚炎を悪化させない、経皮感作を減らすことが可能になってくると考えています。
アトピー性皮膚炎は「キリ」の状態を治療しようとすると、相当に困難となります。診断しづらいですが「ピン」の状態から治療するメリットを知っていただきたいと思っています。