小児科 すこやかアレルギークリニック

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個人的見解
2025年05月09日 更新

ゴールデンウイークの最中に上越市では食物アレルギーの研修会があったようです。

講師は昭和大学小児科の教授である今井孝成先生。押しも押されぬ食物アレルギーの第一人者です。

「そんな偉い先生がどうして上越に?」と思っている学校関係者もいると思いますが、上越総合病院小児科に昭和大学関係者がおり、その関係だと思います。

私は研修会の存在は知らされておらず、ゴールデンウイーク中のお昼のニュースで知りました。その中で、講演を聞いた小学校の教諭が「エピペンを打っても死なないが、打たないと死ぬという言葉が印象に残った」とコメントしていました。

確かに間違いではないと思いますが、あくまで私の個人的な見解ですが、ちょっと驚かせ過ぎかなぁと思ってしまいました。

いえいえ、批判するつもりは毛頭ありません。実際に講演を聞いていないので話の流れを把握していませんが、そこだけ聞いてしまうと、ちょっと違和感を覚えてしまったのかもしれません。

食物アレルギー診療を長年やっていると、精神的な影響がとても大きいことを思い知らされます。今となっては、少しずつ食べさせていたら治すことができたはずなのに、「症状を起こすと困るから食べてはいけない」と医師側が指導することが多かったと思います。

それほど重症でなかった患者さんが食べるのを怖がってしまい、治せたはずのものをそうできなかったケースというのは少なくないと思います。

きわめて重症な患者さんは、誤食によって命を落とす可能性はあります。でも軽症、中等症、一部の重症も治せることは多く経験しています。

過去にソバを食べてアナフィラキシーを起こした患者さんが受診された際に、必要と判断しエピペンを処方しています。

その患者さんには「治すことができるかもしれないので、ソバの負荷試験をやりましょう。」と説明していました。

何度か負荷試験をやっていましたが、つい先日の負荷試験で十分量を食べられるようになりました。エピペンは不要になるので取り下げようと話しました。食物アレルギーに携わる医師として喜ばしい瞬間のひとつです。

エピペンの取り下げについては、何度か経験があります。とても達成感があるものです。