子どもは当然ですが、大人よりは体が弱いため、症状が急変することもあります。子どもが病院を受診する理由の第一位が「発熱」、第二位が「咳」と言われています。
熱が出れば、風邪である可能性が高いのですが、扁桃炎、中耳炎、胃腸炎、尿路感染症、その他の感染症も考えなければなりません。頻度的にはのどに異常がみられる病気が多いので、診察時にはのどをキチンを診なければなりません。
のどを診せるのを嫌がる子どももいますので、大人3人掛かりで押さえて、のどを診なければならないこともあります。激しく抵抗し、数分かかってしまうこともたまにありますが、薬を出すためには診察は欠かせない行為ですので、キチンと行わなければなりません。
熱の出所を明らかにするためにも、のどを診ることは外せませんが、先程述べた通り、第二位は「咳」です。咳は呼吸器系の病気に見られる症状です。風邪が最も多く、その他に気管支炎や肺炎、クループ症候群(ケンケンという咳が特徴的)、ぜんそくなどが多いかと思います。
聴診は息を吸った時や吐いた時に音が聞こえるかどうかを確認する行為です。痰がらみの咳がひどければ、異常を見つけられる可能性が高まりますので、必ず胸と背中の音を入念に聞く必要があります。異常があれば、間違いなく気管支や肺に病変があることが分かります。我々小児科医は聴診所見で、ある程度病気を絞り込むことができますので、聴診ものどを診るのと同じくらい重要な診察なのだと思います。
気管支炎や肺炎、ぜんそくがあれば、聴診で異常な音が聞かれる可能性が高まります。今、上越では新型インフルエンザの他に、RSウィルスが流行しています。インフルエンザでは肺の音が悪くなることは少ないと思いますが、RSウィルスの場合もかなりの確率で聴診器で異常を察知できると思います。
先日、ある患者さんが、咳き込みがひどくて心配で受診したのに、聴診されずに「抗生剤を替えて様子を見ましょう」と言われたことを不可解に思って、当院を受診されました。親御さんの不満もよく分かります。
また、先日インフルエンザの予防接種の際に、診察をせずに接種をしている医療機関があるようだといいました。患者さんにはこれが当たり前であるとは思って頂きたくありません。予防接種の時にも、必要不可欠の行為です。どんなに接種の患者さんが多くても、診察しないのはおかしいと言わざるを得ません。
当院は、ぜんそくや呼吸器感染にこだわっていますので、聴診は入念に行っているつもりです。かすかな異常音を聞き逃さなければ、診断に大きく役立ちます。小さな子どもは深呼吸が上手くできないため、大人ほどはキチンを所見を取れないこともありますし、泣いて音が聞こえないこともあります。よく聞く必要がある場合は、泣き止むまで待って聴診しなければなりません。
医療行為である聴診は、患者が多いからと言って省略すべきものでは絶対にありません。プロ意識を持って大事に行いたいものです。


