予想はできていましたが、新型インフルエンザ、季節性インフルエンザのワクチンと今シーズンは2倍の予防接種をこなさなければならず、仕事がハードです。
ここ上越でもインフルエンザの患者さんが増えてきましたが、最近はその他にRSウィルス、アデノウィルス、水痘、おたふく風邪、マイコプラズマ、溶連菌、手足口病、ヘルパンギーナ、リンゴ病などのお子さんも診察しています。
子どもは感染症に弱く、菌やウィルスを園であげたりもらったりしてくるので、各地でこれらの感染症が小流行しているようです。熱が出ると、親御さんはインフルエンザばかり注目しがちですが、これらを見極め、的確に治療に結びつけるのがプロだと思っています。
上越の地に開業して2年あまりが経ちますが、いくつか感じていることがあります。新潟市や長岡市でも同じような感じなのかもしれませんが、上越しか詳しく知りませんので独断と偏見(?)で述べてみたいと思います。
まず第一は、「小児科医をもっと頼っていいんじゃない?」ということです。つまり、鼻を垂らすと耳鼻科、目やにが出ると眼科、あせもで皮膚科を受診するケースがあまりにも多いのです。この程度は小児科医なら対応できるはずです。
本来小児科医は、子どもの病気をすべて診なければなりません。しかし、皮膚科や耳鼻科、眼科、外科、整形外科などの連携をとらなければならないこともあります。専門的過ぎて、小児科医が手を出せない部分もありますので、これは紹介して対応してもらわないといけません。
しかし、皮膚ならあせも、とびひ、アトピー性皮膚炎、水イボ、耳鼻科なら急性中耳炎、アレルギー性鼻炎、蓄膿症、眼科なら結膜炎(目やに)、アレルギー性結膜炎、泌尿器科らなら尿路感染症、包茎、整形なら打撲、ちょっとした切り傷、肘内障など、ざっと思いつくものを挙げましたが、普通の小児科医ならこれらは対応できるはずです。
以前から、これらの病気に対応してきたつもりです。それがなぜか「耳鼻科に行ってきました」、「眼科で目薬をもらっています」なんて話をよく聞きます。「それだったらうちでも診られるよ」と言うようにしていますが、ビックリされることもあります。
忙しい診察の中で、風邪やぜんそくの診察が終わった後に「湿疹も診て下さい」とか「耳も診てもらえますか?」、「水イボを取って下さい」と言われることがあります。嫌な顔せずに対応しているつもりです。耳あかのため鼓膜が見えなければ中耳炎かどうかの判断ができませんから、ピンセットで耳あかの除去をすることも多々あります。取りきれずに、耳鼻科の先生に委ねることもありますが、なるべく対応すべきと考えています。
決して背伸びをして患者を多く集めようとしている訳ではありません。逆にいろいろ診ていると、一人当たりに時間がかかってしまいますが、トータルで子どもを診るのが小児科医の役目ですし、それが醍醐味でもある訳です。自分で診れる範囲で対応しています。
上越で開業してみて、この点が一番違和感を覚えています。「もっと小児科医を信用して下さい」、これが今日最も言いたいことです。
小児科医として仕事していて、診療がかぶるのは耳鼻科と皮膚科でしょうか?。小児科医の間にも実力の差はあると思いますが、他の科でも結構差があるように思っています。1週間に何度も通うように指示するところもあれば、落ち着いたら「少し様子を見て下さい」と良心的な対応をしているところもあるようです。症状が改善していないのに、同じ薬を出し続ける医師もいます。
私は、腕があって真面目に診療している先生を信頼しています。お薬手帳をみれば、だいたい分かりますので、そういった先生と連携を取るようにしています。開業してみると、勤務医時代よりも違ったものが見えてくるように思います。つくづく、いろんなタイプの先生がいるんだなと思わされます。
日頃から“根拠”のある医療をしなければならないと書いていますが、小児科や他科でもお構いなしの先生もいます。10年前の医療をしたり、我流を押し通しているケースもあります。
点滴が多いのも気になっています。先日も「マイコプラズマと診断されて3日点滴に通った」という親御さんが来られましたが、当院でもマイコプラズマは診ていますが、点滴したことはありません。内服で充分効果はあります。ぜんそく発作で点滴に通うのも「ガイドライン」では推奨していませんし、そもそも発作を繰り返せば、予防治療をするのがお勧めの治療です。
「点滴待ち」という言葉があるのも、上越で知りました。点滴のスペースが足りずに、空くまで待たされるのだそうです。当院は点滴は最大で3人同時というのが、この2年で1~2回あった程度です。親御さんも点滴がベストの治療と考えているフシがありますが、思ったほど必要はないのです。
敢えて言わせて頂きますが、これは上越に限りませんが「アレルギー科」を名乗っているのに、アレルギー関係の学会で顔を見たことのない先生もいます。アレルギーという学問は日々進化しています。日々診療で忙しいといっても、“根拠”のない医療をしていては意味がありません。「いつも休まず、診てくれている」というのはある意味安心ですが、別の見方をすれば不安でもある訳です。
私も来月小児アレルギー学会の発表があるので、準備をしなければならないと思っています。医院の医療レベルをより最新なものに保つには、逆に時々休診があった方が信用できると思って頂けるとありがたく思います。
「郷に入っては郷に従え」なのかもしれません。いろんなタイプの医師がいるのも確かです。医療は検査や処置をしたり、通院の頻度が高ければ収益が上がるという側面があります。開業医にとっては“経営”って大事な問題です。ただ、それに偏り過ぎるのは問題があります。当院に新たに来られた患者さんで「流れ作業的な診療をされてきた」とおっしゃる方もいます。病気は軽い人もいれば、重い子もいます。説明が短くて済む人もいれば、じっくり時間をかけなければならない人もいます。ケースバイケースで空気を読んで対応すべきだと思っています。私は自分の信じた道を進むつもりです。


