今週に入って、新型インフルエンザの患者さんを診る機会が増えました。学級閉鎖や休園などの措置をとる学校や園が増加しています。
一方で、新型インフルエンザのワクチンも基礎疾患をお持ちの患者さんに1日あたり数十人に接種する毎日です。接種予定者が何人も新型にかかっており、心配しています。
少し前にRSウィルスのご紹介をしました。ご存知ない方も多いと思いますが、それはある理由が絡んでいます。12月頃から流行りだす病気で、ある意味インフルエンザよりも厄介です。
そのRSウィルスですが、今週に入って立て続けに当院で患者さんを確認してます。
上越でも新型インフルエンザの流行を受け、熱が出れば「インフルエンザに違いない」と思う方も多いでしょう。検査結果が陰性であることを伝えると「良かった~」と言われることは多いです。しかし、陰性だとしたら、別の原因を考えなければなりません。RSウィルスの可能性も考えなければならないのです。症状として熱が続き、咳も増えるので、インフルエンザと区別がつかないケースも少なくないからです。
何度か触れていますが、RSウィルスはインフルエンザと同じように細い綿棒で鼻水をもらって調べれば、どの開業医でもすぐに判定できます。しかし、外来で調べると保険は利かず、入院患者しか認められていないのです。
誰だって損はしたくないもの。ほとんどの開業医が疑っても調べないのが実情でしょう。適切に対応されていない患者さんが多いのではないかと危惧しています。
当院はゼーゼー言いやすいお子さんを大勢診ています。この時期は一層ゼーゼー言って苦しそうになったり、眠れなくなったり、咳き込んで吐いたりすることも多いので、そのお子さんにも予防薬を続けて飲んで頂いていました。
その子が熱が出始め、ゼーゼーしだしました。39度以上でしたので、「インフルエンザかもしれない」と思い検査しましたが、インフルエンザではないという結果でした。当初は風邪である可能性が高いと説明し、予防薬の他に咳止め、痰切りなどのいわゆる風邪薬を処方しましたが、熱が続き、咳が一層悪化しました。
もともとゼーゼーしやすいお子さんだとは認識してましたが、何か“大きな力”を感じました。悪化要因という意味です。もしやと思い、損を覚悟でRSウィルスを検査してみました。思った通り、RSウィルスが検出されました。
ぜんそくの子がRSウィルスにかかってしまうとより重症化します。ぜんそくだけでも痰が多い病気なのに、RSウィルス自体も痰が絡む病気なので、2倍の痰に苦しめられるのです。ぜんそくがなくても、特に乳幼児がかかると痰が多く、呼吸困難を来す可能性の高い病気です。RSウィルスには、インフルエンザにおける「タミフル」のような特効薬がないし、状態が悪ければ入院して治療するしか方法はありません。ぜんそくの専門家でも手を焼く病気なのです。
結局、RSウィルスに有効とされる治療も行っていたにもかかわらず、全身状態に悪化が認められたので近くの病院に紹介状を書き、入院加療をお願いしました。
当院は、患者さんにベストの治療を選択したいがために、損得関係なくRSウィルスを調べています。RSウィルスを検査もせずに、点滴に通わせたりするのは適切な対応とは言えないでしょう。RSウィルスの場合も、いつも言っている「過小診断、過小治療」は当てはまると思っています。
世の中にはお金にシビアな医師もいます。得になることを優先し、損になることは一切しない方針のようです。マイコプラズマなどは調べるけれど、RSウィルスを調べない小児科医もいますが、より一層RSウィルスの親御さんへの認知を妨げているのです。同業者として情けなく思っています。
逆にこういったところで、その医師が正しい医療をやろうとしているのかどうかを判断して頂きたいと思っています。当院は待ち時間が長いと捉えられているようですが、やるべきことを省略していては良い医療は受けられないのではないでしょうか?。待ち時間が短いだけが患者サービスではないはずです。
これからの季節、普段ゼーゼーしない赤ちゃんが初めてゼーゼーしたり、咳や鼻が出る他に熱が続く場合はRSウィルスの可能性が高いと思います。親御さんはお子さんが病気になれば、不安が強まります。親御さんはお子さんの病気を知る権利があるのです。小児科医側の都合でその権利が侵害されているのであれば、それはおかしいと思いますし、早急に改善されなければなりません。
冒頭にも書きましたが、当院では今週に入り複数名のRSウィルスを確認しています。新型インフルエンザの陰に隠れて、上越ではそれなりに流行しているものと思います。インフルエンザを調べてもらってそれが陰性であっても、熱が続いたり、ひどい咳が出ればRSウィルスかもしれません。「風邪にしてはちょっと違うかな」と思ったら、患者さんの方から「RSウィルスは大丈夫でしょうか?」と聞いてみてはいかがでしょうか?。


