当院でも新型ワクチンの予約を始めました。
もちろん待っていましたと言わんばかりに、予約を頂いています。吸入ステロイドといって、重症のぜんそくの治療をやっている子は当院では数百人おりますので、そのお子さん達から予約の連絡を頂きたいと思っており、注意は喚起していたつもりですが、ホームページをみてくれていない方もいるのでしょう。
なかなか公平性を持って対応するということは難しいです。リストアップはしてあるので、こちらから電話するなり、なるべく早めに接種して頂けるように努力したいと思っています。
中には普段の通院は当院で、予防接種は他院に行かれる方もいます。そういうことなら仕方ないのですが、正直言って主治医としては悲しいですね。ぜんそくは慢性疾患であり、時間をかけて治療をしなければなりません。信頼関係が大切だと思っています。
秋はぜんそく発作で点滴や入院をする子どもが多いと思いますが、専門医が診ればその多くを減らすことは可能だと思います。慢性疾患は、症状の悪化を早めに察知し、早め早めに対応し、それ以上悪化させないことが重要です。日頃の症状をよく観察していれば、つまり、咳き込みの性質や時間帯、走った時の様子を親御さんから聞き出せば、その子が重症かどうかは分かるのです。
ぜんそくという病気を理解し、基本的な知識があればいいのです。簡単に書いてしまいましたが、丁寧に問診し、年長児なら肺機能検査をやったりして時間をかけて情報を収集し、よく考えなければなりません。ぜんそく治療には医学的知識の他に“情熱”が欠かせません。
私はぜんそくを専門に診療していますので、かかりつけの子どもが発作を起こすと、申し訳なく思います。発作を避けられなかったのか、治療が充分でなかったのかを反省しています。子どものぜんそくは5割しか治らないと言われていますが、自分の診る子は100%治したいと考えながら治療させて頂いています。
全国のぜんそくの専門医は、皆そういう思いで治療していると思います。発作が起きれば、吸入や点滴をして「治って良かったね」ではいけないと思います。医療は点滴や吸入すれば医院の収益が上がるので、その辺も見越してか発作時のみに受診するよう指示している小児科医もいます。「ふざけるなっ」と内心思っています。こんな治療をしていて「アレルギー科」の看板を挙げていると、世も末だと思います。
真面目に、時間をかけ、専門的に診た方が収入が少ない、それが日本の医療のおかしなところです。よく“収入”のことに触れるなとお思いかもしれませんが、それを主体に考えている医師も意外といます。医師は“技術を売る”というプライドが必要なのに、お金の関わることしか熱心にしない小児科医も存在するのです。
それだけの想いを胸にぜんそくの子ども達に関わっているつもりです。予防接種も含めて、トータルで診て小児科医と言えるのかと思っています。自分が手塩にかけて全力で診ているお子さんが「よそで予防接種をやってきました」なんて言われると、正直ガッカリします。「まだ信用されていないんだな」と思います。患者さんからすれば、「どこでやっても同じ」と思っているのかもしれませんが、私はそうは考えていません。子どもの健康を守るのが、主治医の役目だと考えています。
週末は東京でアレルギーの勉強会があります。12月上旬にはアレルギー学会の発表もあります。より専門的に、他院で改善しないアレルギー児に対応するためにも勉強は続けなければなりません。
今は「お薬手帳」がありますから、これまでの治療をみることができます。10年前の治療を平気でしている小児科医もいます。患者さんはその医師の腕を信じて通院しているのですが、医師もいずれ良くなってしまうので、その治療に不足も感じず、新たな技術を磨こうとも思わないのでしょう。信頼に応えようと努力するのも医師の役目だと思います。
「この時期は予防接種で忙しいから、学会に行けない」という理由は正しいと思われますか?。予防接種は大勢集めれば収入が上がるため、休むことで収入が減ると考える医師も少なくないと思います。何を重要視しているかで医師の思想というか、考え方が分かります。患者さんからみると分かりにくいでしょうが…。
少なくとも私は“技術を売る”医師でいたいと思っています。予防接種も信頼されるよう努力を続けるつもりでいます。


