昨日は「医者やめろ」の話をしました。
幸い、私が言われた言葉ではありません。しかし、今日のタイトルが実際に私が言われた言葉です(汗)。
アトピーで診ていたお子さんが急に悪化しました。いつもお母さんが連れてこられるのですが、たまたま久々にお孫さんの皮膚を見た祖父が「医者を替えなきゃいけない」と思ったそうです。それでお母さんに「医者を替えろ」と熱心に、そして執拗に(?)薦めたそうです。
私の名誉のために言わせて頂きますが、普段はそれなりに皮膚症状は落ち着いていました。それが、皮膚症状が一気に悪化したのです。
普段診させて頂いている者として、なぜ悪化したのかが気になるし、それを解明しなければ改善させることはできません。もしお母さんが祖父のアドバイス通り、別の皮膚科を受診していたとしたら、私には何が原因で悪化したのかを知る由もありません。
「これは意地でも原因を見つけ出さないといけないな」とややプレッシャーを感じつつ、皮膚の診察をさせて頂きました。悪化した部分をみると、アトピーの悪化とはちょっと違う印象でした。
よーく見ると、細かいプツプツが密集しています。「はっはーん」と思いながら、ちょっとホッとしました。答えは「カポジ水痘様発疹症」でした。
アトピーのお子さんは、痒いのが特徴なのでひたすら皮膚を掻きまくります。大人なら手加減するものの、子どもは場合によっては血が出るまで掻きます。となるとそこに傷ができるのですが、そこから菌が入ると「とびひ」になりますし、ヘルペスウィルスが入ると「カポジ水痘様発疹症」になります。
病名をじっと見ると水痘様という言葉が見えますが、水ぼうそうみたいな発疹が出るのです。このお子さんの場合は、典型的ではありませんでしたが、診断は間違いないと思いました。皮膚科の先生なら見間違わないでしょうが、普通の小児科医だと分からない場合も少なくないと思います。とにかく、たくさん診ていないと間違ってしまいます。
「カポジ水痘様発疹症」の場合、アトピーが悪化したと思ってステロイドを塗っても改善しません。原因が異なるからです。ヘルペスウィルスをやっつける治療を選択しなければなりません。具体的には抗ヘルペスウィルス薬を飲んだり、塗ったりします。当然のことながら、診断が正しければみるみる軽快していくはずです。
後日再診して頂きましたが、皮膚症状は軽快してきていました。逆に言えば「カポジ水痘様発疹症」という判断が間違っていなかったことを示します。ちょっと肩の荷が降り、やれやれと思いました。
アトピーの治療しているのに、皮膚が悪化することがあります。残念ながら時々あることです。大事なのは、「なぜ悪化したのか?」を考えることだと思っています。そして最短距離で改善させる努力をすることでしょう。
一生懸命やっているのに「医者を替えろ」は私にとって結構キツい一言です。取り敢えず、責任は果たしたと言ってもいいかなと思っています。


