当院は、食物アレルギーの正しい知識を普及させてようと日頃から一生懸命活動しているつもりです。
今月末もN市の園の関係者から講演に呼ばれています。アレルギー検査の値で判断され、オーバーな除去を指示されている現状を何とかしたいと思っていますので、専門医はこういう考え方で治療しているという話をさせて頂こうと思っています。ただ、今回は子どものアレルギーについて話して欲しいということですので、アトピー性皮膚炎やぜんそくについても熱く語ってこようと思っています。
食物アレルギーの専門医は新潟県には極めて少ないので、やはり食物アレルギー中心の話になってしまいますが、今は秋でぜんそく発作を起こしやすいシーズンです。ぜんそくの治療も比較的ガイドラインに沿った治療をされている医師もいますし、あまりお構いない対応をされている方もいます。ぜんそくもある程度時間を割かなければならないと思っています。
かかりつけの患者さんが、この時期に発作で受診する人数が多い程、治療不足と言えるでしょう。敢えて言いますが、専門的な治療をされていないと思います。
今年の秋は、例年よりもゼーゼーするお子さんが多いように思います。当院でもゼーゼーして受診するお子さんも時々いますが、点滴が必要になったお子さんは一人もいません。上越ではトップクラスに多くのぜんそくの患者さんを診ているはずですが、昨年も点滴する子はいなかったと記憶しています。
ゼーゼーすれば子どもは息苦しく感じ、眠れなくなります。タイミングが悪ければ楽しみにしていた行事にも参加できません。苦しさを我慢する上に、他の子が楽しんでいることさえも我慢しなければならないのです。それこそ、その状況が私には我慢ならないのです。
ですから当院の目標は、かかりつけの患者さんでゼーゼーする子をゼロにすることです。すでに今年はその目標を果たせませんでした。私もまだまだ勉強と努力が不足していると思い知らされました。
アレルギーの専門医は、みな同じ気持ちでぜんそく児を診ているのだと思います。発作を起こせば、吸入や点滴に通って対応し、「治ってよかったね」という対応はしていないのです。しかも、ぜんそくは発作を繰り返すことで、どんどん重症化します。逆にそういうやり方は、少なくとも重症な子にはやるべきではないのです。
私がホームページにこんなことを書き続けているのは、もしそんな治療を受けているのであれば、「そうではないんだよ。専門医ならお子さんを極力苦しませないし、発作を予防してぜんそくを治る方向に持っていく治療をするんだよ。」ということを知って頂きたいからです。
私は、時々県外の小児アレルギー専門の先生のホームページを覗いています。私なんかよりも有名で、キャリアのある先生なのですが、こんなことが書いてありました。何回も重い発作を起こしている患者さんに対し、ガイドライン通りの治療をせずに発作の治療ばかりして、何年も経って呼吸機能が低下してしまったケースがあったそうです。その先生はその話を聞いて「医者やめろ」という考えがとっさに浮かんだそうです。
その先生は「アレルギーの看板を出していても専門的治療をしていない、プロ並みの治療ができる標準治療を記したガイドラインを読んでいない、標準治療を無視し我流の治療をしている」、こういったことにも着目されています。
「やめろ」なんてちょっと過激な意見です(汗)が、私もこういうケースは実際に診たことがあります。呼吸機能が落ちてしまえば、ぜんそくと一生つき合っていくことになるでしょう。ぜんそく治療は下手をすれば大人に持ち越してしまうので、真剣勝負をしなければなりません。その先生の怒りもごもっともと理解できます。もしそういった治療をしている小児科医がアレルギー科を標榜しているのであれば、「医者やめろ」ではなく「アレルギー科やめろ」と言いたかったのかなと思っています。
患者さんは、普段かかっている小児科医がアレルギー専門かどうかは分かりません。もしアレルギー科の看板を掲げるのであれば、必要最低限の努力をしなければならないでしょう。そうしないと食品業界のように“偽装”呼ばわりされてしまうかもしれません。
数年前のことですが、某市のアレルギー科を名乗る小児科医の院長ブログに、ある秋の日に受診患者の3分の1がぜんそく発作だったと書いてありました。こういう患者さんに片っ端から吸入や点滴をしていれば、医院の収益は上がります。より良い治療法を習得しようなんて思わない医師も出てくることでしょう。技術を持って良心的に治療する程、儲からないのが今の医療システムのおかしなところです。逆に、点滴すれば罰金なんてことにすれば、皆が必死に勉強するかもしれません。
今後も食物アレルギーだけでなく、ぜんそくについても切り込んでいきたいと思っています。大抵の小児科医が「いずれは治る」と説明しているようですが、今は小児科医や親御さんが考えるよりも治らない確率は高いとされています。信じて通院しているのに、必要な予防的治療をせずにぜんそくを大人に持ち越してしまったら誰が責任を取るのでしょうか?。
ぜんそくのお子さんを守るために、親御さん自身も勉強が必要になると思っています。ぜんそくのことをよく理解し、重症度に合った適切な治療を受けて頂きたいと思っています。


