新型インフルエンザのワクチンを当院のような小さな開業医でも手を挙げれば、国からの受託機関として接種できそうです。
多分、ほとんどの小児科が接種することになると思います。かかりつけとしての義務でしょう。しかし、医師達が心配しているのが、季節性のワクチンをやり、新型のワクチンも接種し、徐々に増えるであろう新型や季節性のインフルエンザの診療をこなさなければなりません。基本的に開業医は医師が一人なので、殺人的な仕事量をこなせるのか?ということだと思います。
当院は更に心配なことがあります。ここ最近、新患の患者さんがとても多いのです。一時期は数人でしたが、近頃は受診の1割が新患で、他の医療機関でよくならないという患者さんが多いのです。地元のメディアに露出することはしていないので、口コミなのでしょうか?。そういった患者さんにしてみれば、藁をもつかむ思いで当院を受診されるのに、混んでいるからというこちらの都合で説明をあまりしないのも、患者さんにしてみれば理不尽な話です。丁寧に対応し続けなければならないと思っています。
先日、重症食物アレルギーとアトピーでN市から通って下さっている患者さんが受診されました。何度か「食物負荷試験」をやっているのですが、普通の外来の時間帯に来られました。
「どうしたのかな?」と思って話を聞いていると、アトピーの塗り薬がなくなったとのことですが、メインはやはり新型インフルエンザのワクチンについて相談したかったようです。
新型インフルエンザの恐怖が忍び寄る中、ほとんどの親御さんは「うちの子には新型インフルエンザのワクチンを受けさせたい」と考えていると思います。当院には食物アレルギーの重症者が多いので、過去にかかりつけから季節性のインフルエンザのワクチンを打ってもらえなかったという方が多数いらっしゃいます。
当然、開業医はリスクを避けたがります。下手をして訴訟などのトラブルになると困るという意味もあるでしょう。ただ、医院のホームページで「インフルエンザのワクチンを受けましょう」、「子どもを守るのが小児科医の使命」などと言っておいて、「卵アレルギーがあると打てません」はちょっとどうかと思っています。
先のN市からの患者さんも卵アレルギーは強いのは事実です。実は近くの小児科で相談してみたそうです。「今年は打たずにもう少し待った方がいい」と言われたそうです。何を根拠にそう言われるのかと思います。
アレルギーの強い患者さんにも“平等”に接種できるように、予防接種のマニュアルが存在します。皮膚テストをやってみて、大きく腫れれば「接種は中止」、そうでなければ場合によってば少し打って何ともなければ残りを打つという分割接種するよう明記されています。ちなみに当院では、そのやり方でアレルギーがあっても接種できなかったことは一度もありません。
手間のかからない人だけ打つのは良心的とは言えないし、今年のインフルエンザワクチンの加熱ぶりを見れば空気を読んで、やれることはやるのが筋だと思っています。できなければ、できる人に紹介することをしなければ、患者さんは路頭に迷ってしまいます。紹介して、打てるように段取りをとってあげてはじめて任務終了と言えるのではないでしょうか。そこまでしない医師があまりにも多いと思います。
個人的には、過去に何人も卵アレルギーの強いお子さんにインフルエンザや麻疹のワクチンを逃げずに接種してきました。今年はインフルエンザのワクチンのニーズが極めて高いので、先の患者さんも含め、接種を希望して受診される方も少なくなさそうです。ワクチンにおいてもベストを尽くす医師にもっと増えて欲しいと思っています。


