3日の土曜に第2回「すこやか健康フェア」を開催しました。
新型インフルエンザ騒動で開催自体も危ぶまれましたが、ここ最近の上越市は新潟県でも新型の発生は少ない状況でしたので、無事に終了することができました。遠路遥々多くの方にご参加頂き、感謝しております。
私の勉強会も1時間に渡ってしゃべり続けました。食物アレルギーは、まず基本が大切です。いつも言っている通り「アレルギー検査が高いから困る」のか「食べて症状が出るから困る」のか、と言ったらもちろん後者の方ですよね。
アレルギー検査を当てにしてはいけないことを当院の負荷試験の結果も持ち出し、繰り返しました。上越の他に、中越、下越からも参加がありましたが、ほとどの地域でアレルギー検査を根拠として除去が行われているようです。
また卵アレルギーがあるから卵殻カルシウムまで除去することは必要ありません。せっせと除去している施設もありました。乳製品における乳化剤や乳酸カルシウムも除去が必要ないものとして知られています。この辺もキチンと理解していないといけません。
勉強会の後に個別相談も行いました。昨年よりも件数が多く、昼ご飯を食べる余裕もありませんでした。
ある小児科で「食物負荷試験」という方法もあるけれど、やってはいけない検査だと言われたそうです。その先生に「じゃあ、何で小児アレルギー学会がこの春に食物負荷試験のガイドラインを出したんですか?」と聞きたいくらいです。
「食物負荷試験」以外に食べられる食べられないを区別する方法はありません。食物アレルギーの専門医が、食物アレルギーのお子さんの成長を願い、無駄な除去をしなくて済むように「食物負荷試験」を日頃から繰り返しています。日本の第一人者は各都道府県の主要な街に最低でも1施設は「食物負荷試験」をやることのできる病院を置きたいと考えています。
無駄な除去を指示されるケースがあまりに多いので、「食物負荷試験」の普及を願って負荷試験のやり方をマニュアル化したものが食物負荷試験のガイドラインなのです。どの医師もやる気さえあれば、できれば経験のある先生にアドバイスをもらいながらやればできると思います。小児アレルギー学会の熱意が、末端まで伝わっていないのです。
お子さんが卵アレルギーだと心配されて中越から親子での参加もありました。一目見ただけでアトピー性皮膚炎だと分かりましたが、主治医から「どの子にもあるような生理的なもの」と診断されていました。皮膚をよく見ると、赤ちゃんらしいみずみずしい肌ではなく、赤くガサガサして絶えず掻きまくっている状態でした。間違いなくアトピー性皮膚炎です。いつも言っている通り、過小診断の過小治療でした。
地元から参加された赤ちゃんも全く同様にアトピーが見逃されていました。また、ぜんそく症状を繰り返しても“風邪”や“気管支炎”として治療されていました。2つの病気を過小診断、過小治療でした。新潟県にはこういう専門的な診断や治療がなされていないお子さんが少なくないのだろうと思われました。
受診した小児科医がアレルギーに理解があればいいのですが、そうでなければ通っても良くならないということを繰り返します。医学の世界も細分化してしまい、小児科医なら誰でも上手に診てくれるという時代ではないのです。今後はぜんそくやアトピー性皮膚炎の講演会もやらなければならないのだと思い知らされました。
午後2時から上越文化会館に場所を移して、足立先生の講演会を行いました。午後から参加される方も多く、講演会が始まりました。とても分かりやすく、親しみの持てるお話ぶりに参加者の皆さんが集中して耳を傾けておりました。
富山県内の食物アレルギー児を取り巻く環境が、以前のハッキリ言って良くない状況から、何年か毎に実態調査をされて改善されている様子を理解できました。富山県は大学にアレルギー班があり、新潟とは環境が異なります。羨ましいだけでは何も始まらないので、私個人でもできることから始めないといけません。
最後に質問をいくつかお受けしたのですが、予想外のものまでいろんな質問が出ました。親の方針で「アレルギーになると困るからあれもこれも食べさせたくない」というものでした。あまりに品目が多いと栄養障害を起こしてしまいます。心配な気持ちも分かるのですが、主治医が毅然と理論的に説明して、理解をしてもらう努力が必要でしょう。
確かに食物アレルギーは、10人いれば10人とも同じ反応を示すとは限りません。正直言って曖昧な部分も残っています。お母さんの方針に理解を示しつつ、お子さんのことを最優先に考え、対応する努力が必要です。
今回の「すこやか健康フェア」で私自身も勉強になりました。これだけ食物アレルギーの低年齢児が増えてくると、どの幼稚園、保育園でも患者は一人はいることでしょう。もし「こんなもんでしょ」という対応がされているのであれば、もう少しベストを尽くして欲しいと思っています。
新潟県は食物アレルギーの専門医が極めて少なく、ということは園でも栄養士でも的確な知識を持っている人も極めて少ないことを意味しています。食物アレルギーを持つお子さんは好きで除去している訳ではありません。他の子と同じものを食べたいはずです。周囲の大人が最大限の努力をしなければ、子どもが必要以上に負い目を感じたり、我慢を強いられます。
誤食も起き得るので、速やかに対応できなければなりません。実際に、富山県では以前は誤食して症状が出ても、そのまま様子をみるケースが多かったそうです。もちろん今は足立先生のご尽力もあり、キチンと対処してくれる園が増えています。
新潟県の食物アレルギーの子どもを守るために、まず小児科医が頑張らなければなりません。新型インフルエンザのワクチンも大切ですが、食物アレルギーで困っている患者さんに理解を持たなければならないでしょう。敢えて言わせて頂きますが、新潟県には限りませんが、小児科医は感染症の方に目が向き過ぎているように感じています。そして、更には園や学校関係者も努力しなければなりません。
アレルギーやアレルギーになるのが心配で悩んでおられる患者さん、親御さんは多く、園や学校の現場でそういった問題に直面しており、どう対処していいか困っている現実が明かになりました。専門医でなければ対応が難しかしいケースも少なくありません。
今回で浮き彫りになった課題を今後の「すこやか健康フェア」に活かしていかなければならない、そう強く思っています。


