「すこやか健康フェア」が間近に迫ってきました。毎日診療で忙しいのですが、「すこやか健康フェア」に相当エネルギーを注いでいます。
でもこのイベントが終わると、季節性インフルエンザのワクチン、更に1日に概要が公表されましたが新型インフルエンザのワクチンが予定されており、休む間もなさそうです。
当院は、毎日新患の患者さんが受診されます。今日は私が名医ぶり(笑)を発揮した「咳」のケースを書こうと思いましたが、「すこやか健康フェア」直前につき、やはり食物アレルギーの話でいこうと思います。
先日、ある1歳のお子さんが顔を腫らして当院を受診されました。
もともとは東京在住の方なのですが、以前新潟に戻っている間に皮膚症状で当院を受診されていました。診断はアトピー性皮膚炎だったのですが、その際に卵とミルクアレルギーがあることも判明し、しばらくこれらを除去するように指導していました。
当院を受診されたのは、1歳を過ぎて食物アレルギーをどうしたらいいか相談したかったのだそうです。「東京で、まだアレルギーで信頼できる先生を見つけておらず、相談に来ました」と当院を頼って下さったのです。有り難いことです。
しかし、受診の直前に事件は起こりました。
当院近くにある自動販売機で、飲み物を買おうと思ったそうです。乳製品を禁じられていたので、確実に飲めるものと選んでファンタのボタンを押しました。そしてお子さんに飲ませた途端に、顔に蕁麻疹が出始めました。
当院まですごく近かったので、すぐに到着しました。お母さんに発症までの状況を伺うと「ファンタで食物アレルギー?」と思いました。常識的に考えると、ファンタではアレルギーは起きません。蕁麻疹の出る直前にたまたまファンタを飲んでしまったのかとも思いましたが、飲んだ直後に蕁麻疹が一気に広がっています。
患者さんのためにも、ここはよ~く原因を考えないといけません。よく話を聞いてみると、ファンタが容器は「缶」ではなく「紙コップ」だそうです。そこでもしや?と思いました。
ボタンを押すと注ぎ口が共用の自動販売機でした。もしかしたら前の人がミルク成分を含む飲み物を飲んで、その後にファンタを飲んだので、注ぎ口のノズルに乳成分が残っていたらなツジツマが合います。
私は初めての経験でしたが、実際に調べてみると、こういった事例は報告されているようです。このお子さんは乳製品を摂ったことがないので、ミルクアレルギーで間違いないとは言い切れませんが、アレルギー検査がミルクで高く、多分私の推理は間違いないであろうと思っています。
幸い、すぐに受診できたのと、抗ヒスタミン薬の内服でまもなく蕁麻疹は消失しました。大ごとにはならずに済みましたが、自販機のメーカーはミルクアレルギーのお子さんに配慮すべきだし、こういう事例があることを認識しているのだろうかと思いました。最重症のミルクアレルギーのお子さんなら、アナフィラキシーショックを起こすことでしょう。
今回の患者さんは、卵がわずかに入った食品でも口元に蕁麻疹が出るそうで、卵でも症状が出るようですが、今回の件で乳製品もまだ摂ってはいけないことが分かりました。
見方を変えれば、この事件のお陰で、乳製品の除去を続けることがハッキリしたし、紙コップの自販機も利用しない方がいいことが分かりました。また手元に抗ヒスタミン薬があれば、蕁麻疹が出た時に飲ませると、どういった感じで症状がなくなるのかお母さんが体験できました。私自身も「よく分からないけど、重くならなくて良かったね」くらいでなく、かなり踏み込んだ指導ができて良かったかなと思っています。
東京はアレルギー専門医は新潟県とは比べものにならないくらい多いですが、「食物負荷試験」をやっていない医療機関も極めて多いのです。また受診して下さるそうなので、半年経ったら何か食べられるようになったかどうか「食物負荷試験」をやりましょうということでご理解頂きました。
個人的には、田舎だからレベルが低く、都会だから診療のレベルが高い訳ではないことを知って頂けたのかなと思います。結局、その患者さんをどうしたいと思うかで医療のレベルは変わってくる、つまり医師自身の心の持ち方で左右されるのだろうと思っています。


