小児科 すこやかアレルギークリニック

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患者さんの人生
2009年09月03日 更新

先日、県外の大学病院から紹介状の返事を頂きました。

アナフィラキシーを繰り返す20代の女性を、精査のために日本の最高レベルのスタッフのいる病院へ紹介したのです。

この方は明らかなアナフィラキシーショック症状を繰り返し起こしていました。どうもおかしいと、ある小児科・アレルギー科を受診されたそうです。食物アレルギーを考えたようですが、小麦や甲殻類のアレルギー検査を行い、結果は陰性でした。「食物アレルギーではない」と説明されただけでした。

その先生は、この患者さんの病態を分からなかったのでしょう。食物アレルギーを考え、検査して否定したのはいいのですが、「じゃあ、何という病気なの?」という患者さんの問いに応えていませんでした。患者さんがアナフィラキシーショックという生命の危機にさらされているにもかかわらずです。

分からなければ、なぜ「分からない」と正直に言わないのか疑問です。開業医だから、レベルの低い対応をしていて良い訳ではないはずです。

医学は奥が深く、私自身知りたいことは沢山あります。「分からない」と言ってくれた方が誠実だと思いますし、さらに「専門の先生に紹介します」と言えば、患者さんは有り難いと感じるはずです。「分からない」と言わない方が、あとで患者さんからの評価を落とすことになると思うのです。

ましてや、原因不明のアナフィラキシーショックです。自分の立場に置き換えると、生命が脅かされる不安を常に抱えているのです。ものすごく不安なはずです。だからこそ、患者さんの身になって考える姿勢が必要だと思いますし、もっと患者さんのためにベストを尽くすべきだと思っています。

また、分からないことを放置しておくと、同じケースの患者さんに当たった時に、また誤摩化してしまうことにつながります。私なら同じミスを繰り返すのは嫌です。

この患者さんは、結局当院を受診されました。実を言うと、弟さんが重症な食物アレルギーがあり、まず弟さんが当院を受診されました。弟さんの病態をつき止め、時間をかけて納得のいく説明をしたつもりです。それならと姉である、今回の患者さんが当院を受診されるきっかけになったのです。

この患者さんは非常の稀な病気だと考えられました。アナフィラキシーショックを起こさないように予防を行うことが必要だろうと考え、治療を開始させて頂きましたが、治療は有効でショック症状はそれ以降は起こしていません。

必要最低限の対応はできていたと思うのですが、私の中で「診断名は間違いないだろうか?」、「もっとベストな治療はないだろうか?」という疑問はありました。患者さんには「もし望むのなら、日本でトップレベルの病院に精査をお願いするよ」と伝えていました。

ある日の診察中に、「近々結婚するけれど、出産も含め心配なので精査して欲しい」と言われました。確かに出産は患者さんの体に大きなストレスがかかります。病気が悪化しないか、私も分かりません。それで関東の大学病院に紹介状を書いたという訳です。学会等で大人のアナフィラキシーならその病院が日本トップレベルであると確信していたからです。

今回、田舎の開業医からいきなり日本で最もハイレベルな大学病院の教授に紹介状を書きました。私には精査ができないからこそ、患者さんにベストな医療を施して頂こうと思い、躊躇なくそうさせて頂きました。“患者さんの人生”がかかっている訳ですから、そうしない方がおかしいと思っています。今度検査入院を行うそうですが、この患者さんにとってベストな対応が見つかることを願っています。