小児科 すこやかアレルギークリニック

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マイコプラズマの検査
2009年08月03日 更新

先日、当院で診ているぜんそくや食物アレルギーのお子さんが咳が出るということで受診されました。

驚いたことに、その子の通う園から他のある特定の小児科を受診するように薦められたそうです。私が何年もずっと診ているにもかかわらずです。その理由は、園でマイコプラズマが流行っていて、そこではマイコプラズマの検査をしているからだそうです。

インフルエンザや溶連菌のように、最近マイコプラズマも院内で迅速検査ができるようになりました。ただし、その検査のメリット・デメリットを理解しなければなりません。

他の医療機関で“マイコプラズマ”と診断されて、点滴を繰り返されても咳が止まらないという患者さんがよく受診されます。短期間に何度も“マイコプラズマ”にかかっているのだそうです。以前は、オリンピックの年に流行ると言われていた病気です。何度も繰り返しかかるのはちょっとおかしいと考えています。検査で診断して、治療してよくならなければ、診断が正しいかどうか見直すのが医師のやるべきことです。

症状が良くならないと当院に来られる患者さんは、ぜんそくが見逃されているケースがあまりにも多い。マイコプラズマの薬は一切使わず、ぜんそくの治療で症状は数日で消えてしまいます。親御さんには「ほら、マイコプラズマではなかったでしょう?」と言うと、皆さんが納得して下さいます。

実はマイコプラズマの検査は、私のよく言うアレルギー検査と一緒だと思います。クラス2以上がアレルギーの原因と判断されて、過剰な除去を指示されている患者さんがあまりにも多くて困っています。マイコプラズマの迅速検査も「疑陽性」が多いと言われています。検査は陽性という結果なのに、マイコプラズマではないことが意外に多いとされているのです。以前、他院でマイコプラズマと診断されていた患者さんに採血の必要があり、マイコプラズマの抗体を調べさせて頂いたことがありました。結果は陰性で、やはり検査の上でもマイコプラズマは否定されました。

ある文献によるとマイコプラズマにかかってから半年から1年は、迅速検査が陽性になると書いてありました。つまり、以前かかっただけなのに、今回無関係な“マイコプラズマ”と診断される可能性があるということです。それなら、誤解して短期間に何度もマイコプラズマと診断されてしまうのも理解できなくはありません。

マイコプラズマの治療をしても良くならず、何度も繰り返せば、マイコプラズマでないのは明らかです。それを見極めるのが小児科医の役目であり、アレルギー検査といい、検査一辺倒のやり方に限界があることがご理解頂けるのではないかと思っています。そもそも検査のみが診断根拠なら医者でない素人だってできることです。

当院は、子どもに痛い思いはなるべくさせないようにというのがポリシーなので、検査は必要最低限にしています。ちなみに私の認識では従来からのマイコプラズマ検査は治った頃に抗体が陽性になってきます。その検査を間をあけて2回検査し、抗体の値が4倍以上増加していれば、マイコプラズマ確定というのが正しい判断だと思います。マイコプラズマの迅速検査は早急に診断できなかった短所を補うものですが、「疑陽性」が多いのが欠点と言っていいでしょう。

その辺をきちんと理解して使用したいものです。なお、当院でもマイコプラズマの治療はしていますが、早めに対応しているため、点滴が必要になったことはまずありません。検査も点滴もなるべくせず、子どもに痛い思いをさせずに治療する努力がするのが小児科医のあるべき姿だと思っています。

この検査のデメリットから考えると、夏風邪にかかっただけなのに“マイコプラズマ”と診断されてしまうことも起こり得ます。登園禁止され点滴もされ、登園許可証をもらいに行ったりと何度も通院している患者さんも少なくないのではないかと思います。患者さんのお母さんも3日会社を休むように指示されたりする方もいるようです。医院は潤うかもしれませんが、間違われた場合は大きな迷惑をかけてしまうのです。検査結果がすべてだと信じていると、逆に患者さんの足を引っ張る可能性もあり得ることを理解して頂きたいと思っています。

ただ誤解して頂きたくないのは、マイコプラズマを早期に診断する方法がなかったため、診断において有効な手段であることは事実です。患者さんは病気で困って受診される訳ですから、その時の症状と検査結果を考え合わせた上で的確に診断を下さなければ、宝の持ち腐れになってしまうのです。この検査を活かせるかどうかは、アレルギー検査と同じく医師の腕にかかっているのです。

いま周囲ではどんな感染症が流行っているのか情報を親御さんに知ってもらうのも小児科医の仕事のひとつでしょう。「マイコプラズマが流行っています」と注意喚起するのはいいですが、なるべくは正しい情報を流す努力が必要だと思っています。