小児科 すこやかアレルギークリニック

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リベンジの手助け
2009年07月30日 更新

当院は、長岡市や柏崎市などからも「食物負荷試験」のために患者さんが受診されています。

ある食物アレルギーの患者さんは、地元の小児科でアレルギー検査を繰り返されていました。検査結果が陽性のものを「あれもダメ、これもダメ」と言われていました。検査結果で判断してはいけないと繰り返し言っているのですが、その小児科で検査をする度に食べられないものが増えていきました。

どうしていいか分からなくなったお母さんが、当院が食物アレルギーの専門とどう伝え聞いたのか分かりませんが、70キロの道のりを車で受診されました。

いつものようにアレルギー検査では食べられるかどうかの判断はできないこと、「食物負荷試験」をやる必要があることなどを説明しました。遠くから来られていることは知っていたので、何種類もの食品を“食べられない”ことになっていたので、「食物負荷試験」を繰り返す必要があることを説明しました。患者さんが遠くから来られていることを知っていたのですが、「近いから何度でも来ます」とおっしゃってくれました。子を思う親の熱い気持ちが伝わってきました。こちらも“熱い気持ち”で応えなければなりません。

まず最初に、卵製品を負荷してみようということになりました。血液検査の値は中等度に陽性でした。しかし、お菓子程度なら食べられる可能性は充分にあります。「食物負荷試験」をやってみて、最初はよかったのですが、途中でじんましんが出て、咳込みも始まってしまいました。

いろんなものを食べることを禁じられて、落ち込んでいるお母さんに対して、作戦としては、卵の入っているものでも食べられることを示したかったのです。しかし、想定外に症状が誘発されてしまいました。お母さんも相当ガッカリされていました。

目の前で落ち込んでいるお母さんを何とか励ましたいと思い、「卵製品はしばらく厳しいことは分かったけど、乳製品にも挑戦してみませんか?」と話しかけました。中には「負荷試験はしばらくしたくない」とおっしゃる方も少しいらっしゃいます。その気持ちもよく分かります。シロクロつけなければならない食品が何種類もあるので、「食物負荷試験」をお母さんから遠ざけたくなかった気持ちもありました。そうなれば私の責任でもあります。

乳製品については、食事の摂取歴からそれなりに勝算はありました。しかし、ミルクも血液検査では中等度に陽性でした。とにかく、負荷試験をやってみなければ何も分かりません。

4月に「食物負荷試験」のガイドラインが発表されましたが、鶏卵なら「ゆで卵」、乳なら「牛乳」、小麦なら「うどん」と負荷食品が統一されています。しかしオプションとして、乳ならヨーグルトを使用していいことになっています。ということで、負荷食品をヨーグルトとすることにしました。

さて、ドキドキの結果ですが、一応クリアでした。リベンジ達成です。

ミルクアレルギーのお子さんは、牛乳が飲めるようになれば、ミルクアレルギーは卒業と言えると思います。実は、ヨーグルトは牛乳とさほどアレルゲン性が変わらないと言われています。つまり、この患者さんは卵はダメだったけれど、ミルクアレルギーは卒業しつつあると言えると考えています。

今回、何とか上手くいって本当によかったでした。医師は患者さんの病気に対して常に冷静でなければなりませんが、食物アレルギーに携わる医師は親御さんと同じ目線で、「ともに喜び、ともに泣く」という姿勢も大切なのではないかと思っています。たいていの食物アレルギーの専門医は、そういったスタイルの診療をしていると思います。周囲にもそういう医師に増えて欲しいと願っています。