小児科 すこやかアレルギークリニック

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“最高の医療”
2009年07月16日 更新

私が以前務めていた病院にいた時に、上越市の内科の先生から食物アレルギーを疑われた大人の患者さんの紹介がありました。

食べると吐き気などの症状が出るため、食物アレルギーを疑われていましたが、以前食べられていたものが食べられなくなってきていました。アレルギー検査も疑わしい食品を調べてみましたが、全て「0」でした。食物アレルギーは考えにくい状況です。

しかし、患者さんは食べることが怖くなってしまい、どんどん食べるものが少なくなって行きます。あまりに食べるものがないので、紹介して頂いた内科の先生のところで点滴を繰り返ししてもらっていました。

私は食物アレルギーではないだろうと考えましたが、現在の食事状況を何とかしなければなりません。入院治療が必要になると考えられました。食物アレルギーをキチンと否定できて、消化器の症状がメインですから消化器も対応できる病院で精査して頂きたいと思いました。

患者さんからは、「東京の方まで行ってもいいから、一番良い病院を紹介して欲しい」というご希望がありました。以前も書いたと思いますが、大人の食物アレルギーは、キチンと対応できる医師は極めて少ないのが現状です。日頃から小児科の食物アレルギー専門医は少ないと言っていますが、それ以上の少なさなのです。

結局、アレルギー学会などでもご活躍の池澤先生のいらっしゃる横浜市大の皮膚科に紹介することにしました。日本でもトップクラスのアレルギーの専門病院です。

後日、横浜市大の先生から紹介状の返事を頂いたのですが、やはり食物アレルギーではなかったそうです。ストレスも重なって腸が過敏になった状態でした。

退院された患者さんからも礼状を頂きました。患者さんは診断もつかずに、何が原因か分からずに、ビクビク毎日を過ごされていた状況でしたが、日本を代表する専門病院で精査してもらった結果、診断も確定し、安心していろんなものが食べられるようになったそうです。

私は自分が何をしてあげた訳でもないのですが、「また普通の日常を送れてよかったな」と思いました。食べられなくなったつらい気持ちを伺っていたからです。私は、患者さんには状況の許す範囲内で“最高の医療”を受けて欲しいと思っています。当院はほとんどがアレルギーの患者さんです。“最高の医療”を目指して、日頃からより力を入れて勉強していますし、学会にも参加して最新医療を取り入れるようにしています。

今回のケースは、大人でもあり、消化器の精査もできない私には対応することができませんでした。自分ができなければ、“最高の医療”を提供する施設に紹介するのが、その患者さんに関わった医師としてやるべきことだと思っています。普通は紹介先が県外でも可なんてことはないと思いますが、患者さんも相当困窮されていました。本当に藁をもつかむ思いだったと思います。地元の病院では対応は困難でしたし、患者さんの望まれるような“最高の医療”を受けて頂けたと思っています。

医師は、自分でなるべく対応しようとする努力は必要です。しかし、自分なりに一生懸命診ているつもりでも、当院を初診される患者さんをみていると診断や治療が正しくなく、よい医療を提供できていないケースも意外に多いのです。「様子をみて下さい」と引っ張り続けることは、結果的に患者さんにベストを尽くしていないことにつながります。

医師は、患者さんに対し、常に“最高の医療”をしたいという気持ちを強く持っていなければなりません。何が“最高の医療”なのかを念頭において患者さんに接することが大切だと思っています。