7月に入りました。
当院は、ぜんそくの患者さんが大勢受診して下さっています。6月は寒暖の差が大きいため、発作を起こしやすいと言われています。今年も調子を崩した患者さんが少なくありませんでした。
咳が止まらないと、当院を受診して下さる患者さんが増えました。お子さんを何とかして欲しいと依頼されたら、1日でも早く症状を軽くするのが“プロ”だと思っています。
いつも言っている通り、ぜんそくが見逃されていることが多いのです。ぜんそくの治療をすると速やかに症状は改善します。“風邪”と診断されていれば、治療が違うので改善するはずがありません。
その中で、1か月に2回くらいの割合でゼーゼーを繰り返しているお子さんが当院を受診されました。ちょっと申し訳ないのですが、驚いたことにぜんそくと診断されておりませんでした。親御さんがぜんそくを持っており、ぜんそくを遺伝しやすい状況でしたし、親御さんも症状が似ているために、薄々そうではないかと気付いていらっしゃいました。
これまでの治療は、咳のがひどい時に気管支拡張の貼り薬程度でした。私のよく言っている「ガイドライン」では、ぜんそくの軽症持続型に当たります。年齢も考慮に入れると吸入ステロイドを継続的に使用する必要があります。そういう意味では無治療と言っていい状態でした。
一般的に、子どものぜんそくは1歳で発症し、治る場合は12~13歳で発作がみられなくなることが多いと言われています。今回のお子さんの場合は、小学校高学年でした。もっと早くからぜんそくと診断し、治療を開始したかったというのが本音です。
こういう患者さんを経験する度に、つくづく早く紹介して頂きたいと思っています。「“風邪”だからじきに治る」と思っていらっしゃるのかもしれませんが、この年齢でゼーゼーを繰り返すとぜんそくを大人に持ち越す可能性が大きくなるのです。患者さんの一生の問題になり得るのです。
今回のようなパターンの患者さんは何人も対応しています。しばらくの間、発作を起こさないようなクセをつける必要があります。私のかかわる患者さんは100%治って欲しいので、このことを必死に説明しています。
大抵の患者さんは私の言うことを理解して下さいますが、一部の方は咳が止まれば通院する必要はないと、勝手に通院を止めてしまいます。どんなにゼーゼーして苦しくなっても、一時的に治療すれば薬がなくても過ごせるので治ったと思ってしまうのでしょう。これまでそれで済んだので、そういう対応で充分と考えてしまうことと思います。
本当なら、すべての小児科医が、特に重い患者さんには、それではいけないことを患者さんに説明(患者教育)する必要があるのですが、アレルギー専門でないとなかなかそうはいかないようです。
当院の場合は、キチンと説明する必要のある患者さんは時間を割いているので、継続的に通院している患者さんはかなり多いはずです。しかし、それでも発作時にのみお子さんを連れて来られる親御さんもいます。受診する度に、継続治療の必要性を説いています。その時が理解するチャンスだと思うからです。
ちなみに今回の患者さんは、先日再診され「調子がいいです。咳が出ません。」とお母さんが笑顔でそうおっしゃいました。そこですかさず「今の状態が“本来”のお子さんの姿なんだからね。今までの咳は病気がそうさせていたんだよ。」と言い、「ゼーゼー言わないクセをじっくり時間をかけてつけていきましょう」と言いました。ここで念を押すことは重要だと思ったからです。
ぜんそくなどの慢性疾患に対する患者教育は、間違いなく必要です。もう少しぜんそくに対して理解を持つ医師や患者さんが増えれば、大人に持ち越すぜんそくを減らせるのではないかと思っています。
“風邪”や“気管支炎”と診断されている割にゼーゼー言ったり、咳が長引いたりしておかしいと思えば、「アレルギー専門医」から一度診察を受けることをお勧めします。ただし、ここでいうアレルギー専門医とは、アレルギー科の看板を挙げる医師とは限らないことを申し添えておきたいと思います。


