18日の木曜に小児ぜんそくのガイドラインに関する講演会があり、私が司会をさせて頂く話をしました。
当日は、小児ぜんそくのガイドライン作成委員の先生が上越に来られます。メインは2008年12月に改訂された小児ぜんそくのガイドラインについて解説をして下さるものと思います。本来ならお子さんのぜんそくでお悩みの親御さんや学校、園関係者の方々にも聞いて頂きたいのですが、対象が医療関係者なのです。
先日、小学校高学年のお子さんが当院を初診されました。ゼーゼーや強い咳込みを繰り返しており、そういった時にある医療機関を受診されていたそうです。診断は特にされておらず、ホクナリンテープという気管支を広げる作用のある貼り薬を処方されていたそうです。
当院のホームページをお読みの方は、医療関係者でなくてもお分かりでしょうが、診断はぜんそくです。ぜんそくはゼーゼーを繰り返す病気だからです。親御さんにぜんそくと診断しても、何も驚きませんでした。お父さんもぜんそくをお持ちで、医師から診断されなくても薄々気付いていたそうです。
ぜんそくであることは理解して頂きました。次に気になるのは治るかどうかでしょうが、当然のことですが、病気が軽ければ治る可能性が高まるし、重症であればある程、期待は薄まります。このお子さんは、かなりの頻度で発作を起こしており、決して軽いとは言えませんでした。
医師によって説明が異なると、患者さんは誰のことを信じていいか分からなくなるでしょう。当院の診察室の手元にはぜんそくやアトピー、食物アレルギーのガイドラインが置いてあります。ぜんそくのガイドラインを手にして、お子さんがぜんそくであること、重症度は「軽症持続型」であり、年齢的にも吸入ステロイドを使用した治療が適していることをお話ししました。
なお、ぜんそくのプロは「肺機能検査」を行い、客観的な評価も行っています。私はこの患者さんにも肺機能検査を行いましたが、異常はありませんでした。肺機能検査はぜんそくにおいて重要な客観的指標ですが、9割以上の患者さんが経験がないと思います。18日の講師の先生も肺機能検査は日常的に行われています。肺機能の重要性についても、お話を伺えると思っています。
ここまで説明して、親御さんは「こんなによく説明してもらったことはない」と目を丸くしていました。当院で診ている患者さんには、誰にでも同じようにこんな感じで説明をしていますので、まだまだ小児ぜんそくの「ガイドライン」は普及していないのだと実感している次第です。
市内には「イソプロテレノール持続吸入」といって最重症の発作を起こした患者さんに行う治療を“外来”でやっている医師もいると聞いています。ぜんそくは大発作ならば「入院」が原則なので、本来この治療を外来でやるなんて有り得ないのです。治療法を誤解しているのだと思います。
また大発作なのに、外来で酸素を吸わせながら、1日2回午前と午後にステロイドの点滴を行い、トータルで1週間通院してといった治療をしている小児科もあるようですが、これらも「ガイドライン」には載っていない独特の対応です。「ガイドライン」には重い発作の時は「入院しないように点滴治療を頑張れ」とは書いておらず、入院治療で体勢を立て直し、次回から入院しないような予防治療をすることを推奨しているのです。やはり、「ガイドライン」をキチンと理解して頂きたいと思っています。
上越地方には、アレルギーの専門医は非常に少ないのが現状です。重症度に見合った適切な対応が広まって欲しいと願っています。小児ぜんそくの「ガイドライン」を作成された先生の講演を聞く機会はほとんどないと思われ、専門でない小児科、内科の先生方には是非とも参加して頂きたいと思っています。看護師さんも参加できるはずですから、この機会に最新の「ガイドライン」がどうなっているのかを知って頂きたいと思います。
上越に小児ぜんそくの「ガイドライン」を広めるチャンスではないかと考えています。患者さんには理にかなった、専門医の治療である「ガイドライン」通りの適切な治療を受けて頂きたいと強く思っています。


