昨日も書いたように、医師は愛情をもって患者さんと触れ合うべきでしょう。
目の前の患者さんを「どうしたら1日も早く良くすることができるか」を考えて診療に当たらなければなりません。というか愛情があれば、流れ作業的な診療はできないはずです。
先日、当院を受診された患者さんは咳が止まらないというのが受診理由でした。咳が長引いていて、咳が特に悪化するのはほ乳後だそうです。
結論から言えば、ぜんそくと診断されました。小児ぜんそくのほとんどの患者さんに「運動誘発ぜんそく」といって運動することでゼーゼーや咳が誘発される現象が見受けられます。ぜんそくのお子さんが騒いで咳き込むのは、この運動誘発ぜんそくがあるからです。
ところで、赤ちゃんにとってミルクを飲むことはいわば運動とも言えます。ゼーゼー言いやすい赤ちゃんは、ほ乳後にゼーゼーすることもあるのです。これはアレルギー専門医なら知っていることですが、専門でない先生には見極めが難しいと思います。先の赤ちゃんは、最初は別の小児科に通っていました。案の定、「ほ乳後にゼーゼーするのは当たり前だ」と言われたそうです。
赤ちゃんが咳が長引き、ほ乳後であれゼーゼーすることは普通はないことです。“決めつけ”はよくありません。患者さんは何度も通院されているので、症状が改善しなければ、なおさら様々な可能性を考えて、いち早く症状を改善させるよう努力すべきなのです。この辺は小児科医としてのプライドと言うか、患者さんへの愛情の深さがものを言うのではないかと思います。
親御さんも“飲んでゼーゼー言うのは当たり前”と信じていましたが、キチンと時間をかけて説明し、そうではないことを納得して頂きました。実は家族歴もあり、遺伝しやすい状況であることも分かりました。ぜんそくの治療を行い、症状は改善しました。ここで自分がいい加減な対応をしたら、お子さんのぜんそく症状を改善させられないと考えましたので、誠意を尽くして対応させて頂いたつもりです。
私にも専門的に勉強しているプライドがあります。専門医とそうでない場合は、明確に力の差があることも理解して頂けると嬉しいなと思っていますし、親御さんには肌で感じて頂けたものと考えています。
恩師の時代も、そしてこれからも「オレが何とかしてやる」という愛情をもった上で、医学的根拠(EBM)に沿った医療が患者さんから求められているのだろうと確信しています。


