5月30、31日に開催された日本小児難治喘息アレルギー疾患学会に参加してきました。
この学会は小児科医だけでなく、看護師や養護教諭、親の会などの誰でも参加することができます。重症のアレルギー疾患のお子さんを取り上げたり、看護師の取り組み、学校との関係などが話題としてピックアップされたりと、日本小児アレルギー学会とは異なる雰囲気の学会です。
以前も触れましたが、私が運動誘発ぜんそくと考えてしっかり治療してもよくならない患者さんを何とか良くしたいと考えて、この学会で発表させて頂き、解決の糸口をつかむことができました。そういう思い入れのある学会でもあります。
今回のメインイベントは、恩師の講演でした。重症ぜんそく患者さんとの関わりを話して下さいました。医師になって40年以上とおっしゃっていましたが、当時子どもだった重症ぜんそく患者さん達は40~50歳になっている人もいます。
小児ぜんそくは5割治ると言われていますが、重症だと2割程度しか治らないという報告もあるようです。恩師は日本で最も重症なぜんそく患者さんを一番多く診ている小児科医でもあります。いまだに数多くの患者さんがぜんそくと付き合いつつ、定期受診されています。
現在は治療法の進歩に伴い、ぜんそく症状をコントロールし、「ぜんそくのない子と同様な生活を送れるように治療しましょう」と言われていますが、数十年前は今では考えられない程の頻度でぜんそく死が見られたそうです。「いかに死なせないようにするか」が第一目標だったと話され、私には想像できない世界でした。
恩師は、そういった重症な患者さんに対し“逃げずに”誠意をもって当時最も有効とされる治療を行ってこられたからこそ、いまだ40年来の患者さんに囲まれていらっしゃる訳です。これらの患者さん達はこらからも恩師をしたって通院されることでしょう。
恩師の講演の最後に、重症ぜんそく患者さんに対して貫き通してきたものは「愛」と「根性」だと力説されていました。普通の人がこう言うといやらしく聞こえてきそうですが、恩師の場合は「そうなんだろうなー」と納得してしまいます。
ぜんそくのプロとして、小児科医として患者の命を守らなくてはなりません。いつも患者さんにまっすぐな気持ちで、誠心誠意を持って治療に当たっていなければ、これだけの信頼は得られないはずです。またそれを何年も維持するためには「根性」も求められるはずです。
ここには風邪を引いて近くのかかりつけで風邪薬をもらうのとは異なる、慢性疾患ならではの“医師と患者の人間関係”があるのです。どの小児科でもぜんそくの患者さんは診ているはずです。本来、慢性疾患で重症な患者さんは専門医が対応すべきだと常々言っていますが、専門医は少ないので現実的にそうではなさそうです。
私自身は、恩師から大きな影響を受けていると思います。すなわち、自分の診るぜんそくは100%治すつもりで対応しているつもりです。その気持ちはいつも持ち続けていたいと考えています。しかし、何年先も私の元に通い続けてくれるかどうか…。
恩師の講演をお聴きして、当院で診ている、診ていないにかかわらず、ぜんそくのお子さんや親御さんこう聞いてみたいと思いました。
「かかりつけ医から愛情を注いでもらっていますか?」


