当院は、開院してから1年8か月になります。
当初は、アレルギー専門医ということで、アレルギーでお困りの患者さんがどっという感じで来て下さいました。少しずつ小児科医として知名度が上がってきたせいか、最近はアレルギーのないお子さんも増えてきました。
専門分野のアレルギーだけ一生懸命やっていたのでは、もう一つの専門医である小児科医として信用されなくなってしまいます。小児科医が前提のアレルギー専門医ですので、風邪でも胃腸炎でもアトピー以外の湿疹でも丁寧に対応しているつもりです。
真面目にやっていれば、その姿勢を認めてくれる患者さんも少なくないだろうと思っていました。上越市では新参者ですが、それなりの患者さんが連日受診されていると思います。
周囲では「立ち上がりはいい」と言われています。かかりつけ医を代えるのは勇気がいることなので、新しい医院のかかりつけの患者さんが増えるのは、時間がかかるということのようです。でも、そう言われてもたいして嬉しいとは思わないのです。
開業医は個人事業ですから、売り上げは無視できません。多く患者さんが来て、多く検査や点滴などの処置をすれば売り上げが上がります。マスコミに宣伝して知名度を上げることも戦略として大事なことでしょう。
これからの社会はどうなるか分かりませんから、老後の蓄えは多い方がいいだろうし、ベンツに乗ったり、眺めのいいお屋敷に住むことができたりするでしょう。
ところで、開業医の成功って何だろう?と思います。そりゃ誰だってリッチな生活をしたいという気持ちはあります。しかし、営利目的の企業とは違い、医師という立場からすると、それだけではないですよね。というか、医師によって成功の概念は異なると思います。
よく「うちはこれくらいの患者がくる」と受診数を口にする医師がいますが、患者さんが多くきた方が“成功”って訳ではないはずです。価値観の違いなんだろうと思います。
私にとって毎日100人以上の患者さんを診ることより、アレルギーで困り果てている患者さんを10人診た方がやり甲斐や満足感は大きいと思います。しかし、現実問題として10人だけでは、医院は潰れてしまいますが…(汗)。
私の考える開業医の成功とは、「良心的に医療して、より多くの患者さんから信頼されること」です。だから尚更、子どもの嫌がる検査と点滴はあまりやらないようにしています。本当に必要な場合に限り、検査や点滴をするようにしていると、それが結果的に親御さんから信頼を得ることにつながると考えています。もちろん、なぜ点滴(検査)をしないか、今回はなぜ点滴(検査)が必要なのかを説明しています。
もうひとつ、「一人でも多くの新潟県内のアレルギーで困っている患者さんを何とか改善させること」も挙げられます。これはどの小児科医にもできることではありませんので、専門施設で学んできた者として、私に課された使命だとも思っています。
よく考えてみると、私にとっての“成功”ってずっと追い求めるもので、いつまでたっても掴めないもののようです。でもだからこそ、学会に参加して勉強して新しい技術を学び、それを患者さんに還元するという努力を継続しなければならないのだと思っています。


