小児科 すこやかアレルギークリニック

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同じにおい
2009年05月19日 更新

先日、診療していて「なかなかやるなー」と思ったことがありました。

ある耳鼻科で蓄のう症があると言われている患者さんに「本当はこの年齢は蓄のう症の診断は難しいんだよ」としっかり患者さんに説明する小児科医がいたからです。

小児科医は、耳鼻科領域はあまり詳しくないので、「耳鼻科で言われたのなら」と信用せざるを得ないことがほとんどだと思います。しかし、蓄のう症の診断はそう簡単ではないと私も知っています。

蓄のう症とは、読んで字のごとく「膿がたまる」と書きます。どこにたまるのかと言いますと、両目の下に位置する上顎洞(副鼻腔ともいう)という空洞です。蓄のう症の別名は、慢性副鼻腔炎と言います。乳幼児は、この上顎洞がキチンとでき上がっておらず、膿がたまりようがないのです。

鼻のレントゲンを撮ってみて膿がたまっていれば、蓄のう症と診断してもいいと思いますが、レントゲンも撮らずにそう診断しているケースもあるし、2歳のお子さんのレントゲンを撮って「空洞が見えないから蓄のう症です」と診断しているケースもあります。しかし、まだ空洞ができていない可能性があるので、それだけで蓄のうであるとは言い切れない訳です。

蓄のう症はしつこい咳の原因にもなっており、アレルギー専門医は知っていなければなりません。しかし、一般の小児科の先生はあまり詳しくないと思います。しかし、まだ2歳で蓄のう症と診断されていた患者さんに対して、ご自分のお子さんの鼻のレントゲンを示して、「一般的には蓄のう症とはまだ診断できないのではないか」と説明する姿に、キチンと正しい医療を提供しようとする小児科医もいるものだと思いました。

最近は、エビデンス ベイスト メディスン(EBM)といって医学的に正しい医療をしようと言われており、逆に根拠のないような医療は提供すべきでないと言われています。いつも言っているとおり、ぜんそくを“風邪”、アトピー性皮膚炎を“乳児湿疹”と軽く診断して、咳や湿疹が改善しないのは診断が正しくないから当たり前の訳で、EBMに沿っていないのです。蓄のう症の診断も安易にすべきではないと考えます。

その点、この小児科の先生はあいにく上越市外の先生ですが、正しいEBMに沿った医療をしようという姿勢が伺えます。私もまだまだ学ばなければならないことが沢山ありますが、患者さんにいい加減な医療を提供しようとは思っていません。この先生には“同じにおい”を感じています。

日常診療の中で、「これは耳鼻科の先生に診てもらった方がいいだろう」と思うケースは時々あります。医師にはいろんなタイプの人間がいます。患者さん優先か、そうでなさそうな先生もいます。「お勧めの耳鼻科はありますか?」と聞かれると、“同じにおい”のする耳鼻科を紹介しています。そういう先生は、キチンと鼻のレントゲンを撮って、分かりやすく説明して下さっています。

“同じにおい”のする先生は、患者さんの訴えによく耳を傾けるし、質問にも的確に答えようとします。混んでいるから重症患者さんにも1~2分しか説明しないとか、症状がよくならないのに同じ薬を出し続けるとか、検査や点滴などの処置も繰り返したり、何度も通院を指示したり、本来なら紹介すべき患者さんを自分のところに抱え込むというようなことは、まずやらないと思います。

今後も“同じにおい”のする先生と連携をとりながら、よい医療をやっていきたいと考えています。