乳児のアトピー性皮膚炎の対応は、専門医とそうでない医師の間では、残念ながら明確な差が存在するのは事実だろうと思います。
先月まで当院で診ていたアトピーの赤ちゃんがいました。里帰り出産で、上越に戻ってこられていたのですが、先月いっぱいで地元に帰られたのです。当院で治療して落ち着いていたのですが、アトピーは元々慢性の経過を辿る病気です。悪化と軽快を繰り返します。
あいにくやや悪化してしまい、地元の小児科を受診したのですが、良くならないと120キロ離れた当院まで戻ってきて下さったのです。
アトピー性皮膚炎は“乳児湿疹”と過小診断されていることが多いのが現状です。もう少し「ガイドライン」に沿った診断がされるようになることを望んでいます。そうしない限り、いつも言っている通り間違いなく治療不足に陥ります。
里帰り出産で上越に戻ってこられて当院を受診されるケースは結構とあります。じきに地元に戻られるとはいえ、診断や治療に手を抜こうなんて思いません。アトピー性皮膚炎の診断基準を満たしていると思えば、その根拠を示し治療についても時間をかけて分かりやすく説明しています。
アレルギーの専門医は全国的にも多くはないので、地元に戻った際に「うちの子はアトピーと診断されていて、ガイドライン通りのステロイドを使った治療をしてもらっていました」としっかりと言えるように、プロとして指導しているつもりです。最初の対応がいい加減だったり、不十分だと親御さんが医療機関を転々としたり、医療不信になってしまうケースをこれまでよく目にしてきたので、自分を頼って下さった患者さんにはそんな風になって欲しくないと思っています。
当院が開院してから周囲でも“乳児湿疹”にステロイドを処方する医師が増えた気がします。「ガイドライン」でもアトピー性皮膚炎にはステロイドを使用することが明記されています。実際に今回の患者さんの場合も、地元の小児科でステロイドが処方されていました。
ステロイド自体は、当院処方のものと大差はありませんでした。ではなぜ120キロ離れた当院に舞い戻ってこられたのか?。それは“乳児湿疹”やアトピーはステロイドを塗っていればいい病気ではないからです。
どのステロイドを選択するか、他の薬との併用をどうするか、どれだけの期間使うか、塗る量はどれくらいがいいのかということもあります。部位によっても薬を使い分けなければなりません。スピラゾンローションやロコイドなどを使う小児科医もいますが、なぜその薬を使うのかを患者さんに説明できなければなりません。説明不足のケースもよく目にします。
私自身もまだ勉強をし続けなければなりませんが、その辺りには明確な意図を持って薬を選択し、治療させて頂いているつもりです。120キロの距離を遥々受診されるのは心苦しいのですが、お子さんに適切な医療を受けさせたいという熱い思いをひしひしと感じ、私にできることはその期待に応えることだと思っています。
これをお読みの患者さんには、乳幼児の湿疹が治りづらく1か月程度治療しても良くならない場合は、アレルギー専門医を受診することが推奨されていること、つまり小児科医など医師なら誰でもいい訳ではないことをご理解頂きたいと思っています。


