小児科 すこやかアレルギークリニック

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「取り敢えず」
2009年03月26日 更新

赤ちゃんに湿疹が出たり、他院で治療しても良くならないと当院を受診されるケースが増えています。

当院では、アトピー性皮膚炎だと判断されば「アトピーです」と説明していますし、そうでないと考えれば「アトピーではない」と患者さんに言っています。

医学は経験に基づくだけではいけません。アトピーを多く診ている先生は正確に判断できる一方で、あまり多く診ていない先生は診断にズレが出てしまうこともあるでしょう。診断基準は決まっているのですから、その通りに診断すればいい訳で、アトピーかどうかは小児科や皮膚科の医師なら判断できるはずだと思っています。医師によって診断が異なってはいけません。

先日初診された患者さんは、いくつかの医療機関を回っても改善が得られないということで当院を受診して下さいました。

過去の症状を問診した上で現在の皮膚所見をみると、アトピー性皮膚炎と診断されました。過去の説明を聞いてみると、3施設のうち1施設が“アトピー”と診断され、他の2施設が“診断なし”でした。先程も述べましたが、診断基準をあまり参考にしていないのかなと思ってしまいます。

いつも言っている通り、診断がないのに治療が進んでしまうことに違和感を覚えます。ちょっと極端な例かもしれませんが、胃に病気がある場合、胃潰瘍なのに胃ガンの治療をされたら患者さんは困りますよね?。診断を決定してから、その病態に合った治療をするのが正しい医療だと思っています。

診断名も告げられないまま、「取り敢えず、これを使っといて」とスピラゾンローションなどのステロイド外用薬を処方されたそうです。飲み会で「取り敢えず、ビール」という注文の仕方はあるようですが、病気に関してはもっと的確に扱って欲しいと願っています。患者さん自身も、診断がない場合は医師に診断を確認することも必要だと思っています。専門医でなければよく分からないと思いますが、ステロイドを使っても症状が改善されないことは意外とよくあることです。

乳児のアトピー性皮膚炎は、軽症なら診断がついていなくても、軽快するケースもあります。しかし、難治な場合こそ、正確に診断して的確に治療されなければならないのではないと思います。

日本アレルギー学会は、1か月程度治療しても良くならないアトピー性皮膚炎は、アレルギー専門医に紹介すべきと提唱しています。けれども、診断名がついていなければ、専門医のところまで患者さんが辿り着きません。より丁寧に対応されるべき患者さんにおいて、なかなか診断や治療が進まない可能性があるのです。

湿疹が安定せずに医療機関を転々とされる患者さんに遭遇する度に、乳幼児の湿疹で治りづらければ、アレルギー専門医に紹介するというシステムができて欲しいと切に願っています。