先日、10歳過ぎのお子さんがぜんそく発作を起こして当院を初めて受診されました。
何年か前に県外の病院でぜんそくの治療を受けていたそうです。フルタイドとシングレアという薬を使っていたようですが、処方の内容からみて、ぜんそくに詳しい先生が主治医だったと予想されます。
それから新潟に引っ越して来られたようです。症状が落ち着いたので治療は中止になったようですが、治療を止めてからも咳は出ていたそうです。新たなかかりつけ医にもぜんそくの治療について相談したとのことです。その答は「ゼーゼーを聞いたことがないので、ぜんそくの治療は再開する必要はない」といったものでした。
その患者さんがぜんそく発作を起こし、夜眠れずに苦しいと訴えて当院を初診されました。結果論として、ぜんそくが治っていなかったことを表しています。
ぜんそくの専門医は、この年代の患者さんにはとても気を遣います。小児ぜんそくは「どうせ治る」というように考えている小児科医がいますが、その認識は正しいとは言えません。治る場合は、統計をとると12~13歳くらいに発作を起こさなくなることが多いようです。つまり、このお子さんの年齢は、ぜんそくが治るか治らないかの瀬戸際と言っても過言ではないからです。
私の場合は、思春期前の患者さんを診る時は、症状がほぼ完璧に出ていないのかどうかを確認することに力を入れています。ぜんそく症状の有無は、アレルギー専門医であれば、どういう状況で出やすくなるかを知っていますので、話を聞くだけでおおよそ判断できます。“ゼーゼー”の有無を重視する医師が多いと思いますが、この年代は体も大きく、気管支も太くなりますので、ゼーゼーは言いにくくなります。それに騙されてはいけません。
また、もう一つ秘策もあります。それは以前も触れましたが「肺機能検査」です。ぜんそくの重症なお子さんは、発作のない状態でも調べると、ぜんそくのパターンを呈していることがあります。吸入をして、低かった値に改善があれば、なおさら分かりやすのです。
アレルギー専門医は、「肺機能検査」を重視しています。いつも言うガイドラインにも「肺機能検査」の重要性が繰り返し指摘されていますが、ほとんどの患者さんが受けたことがないと答えています。新潟県も「肺機能検査」が普及しなければいけません。
もう一度話を整理しましょう。10歳前後のお子さんはぜんそくが卒業できるかどうか微妙な年齢なので、プロである専門医は細心の注意を持って対応しています。それくらい丁寧に対応しなければならない年代なのです。この年代で症状を繰り返すようなら、ぜんそくは少なくとも「黄色信号が灯っている」と言ってもいいでしょう。
ちなみに、冒頭の患者さんは気になる症状が出ており、「肺機能検査」も心配な値でした。治療のし直しが必要と判断されました。継続的に治療が必要と親御さんに説明しました。
この年代の子が発作を起こすと吸入や点滴をして、症状が治まればそれで終わり、という治療がなされていることが多いですが、プロから言わせて頂くと最も注意すべき年齢でしょう。個人的には、小学校中学年以降でぜんそく発作を時々起こすお子さんは、日本アレルギー学会の認定するアレルギー専門医に一度診せた方がいいと思います。
以前、入退院を繰り返していたようなお子さんは、「肺機能検査」も結構落ちているケースが多いように思います。そういったお子さんは治りが悪いのも事実です。病気が重ければ、治りにくいのも現実だからです。こういうお子さんは、アレルギー専門医で「肺機能検査」を必ず受けるようにするシステムがあればいいのではないかと考えています。
近くにこういうお子さんがいらっしゃるようでしたら、是非から専門医から診察を受けることをお勧めします。近隣でご心配な方は、当院にご相談頂ければ誠意を持って対応させて頂きたいと思っています。


