小児科 すこやかアレルギークリニック

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過剰でも過小でも
2009年02月25日 更新

先日、友達のお母さんからの紹介ということで、ゼーゼーを繰り返す赤ちゃんが受診されました。

ある医療機関で「ぜんそくかもしれない。吸入ステロイドを使った治療が必要だから、吸入器を買うように」と言われたそうです。お母さんの話が本当なら「ぜんそくと診断が確定されていないに、吸入ステロイドは普通使わないのにな」と思って話の続きを聞いていました。

実際に、パルミコートという吸入ステロイド処方されたそうです。医院から一時的に貸し出され、吸入器の購入を勧められたとのことです。友達に話したら、「吸入器が必要なくらい悪いの?」と言われ、当院を受診するよう勧められたそうです。

どんな形で受診されたにしろ、当院を頼って受診されたからには、適切な診断と治療で対応させて頂こうと思います。つまり、治療は“我流”ではいけませんので、ガイドライン通りに診断し、治療を進めるだけなのです。私の場合、専門施設で重症な患者さんを多く診させて頂き、トレーニングも受けてきました。また、アレルギー専門医として、ガイドラインをキチンを把握しているつもりですので、客観的に吸入器が必要かどうか、お母さんの疑問に答えないといけません。

医師によって言うことが異なると患者さんは混乱してしまいます。しかし、この赤ちゃんはぜんそくの定義を満たしていましたので、ぜんそくと診断されました。いつも言っている通り、診断はキチンとしなければなりません。それが治療も含めた全てのスタートなのですから。

ぜんそくと診断がついて、その次にその病気の重症度を見極めなければなりません。軽症であれば軽い治療で済むはずですし、重ければ強い治療が必要になるのは当たり前のことです。この患者さんの場合、ぜんそくと診断がついたばかりで、治療もスタートしていないのに、まだ判断できない状況だと思います。

一般的には、基本的な治療をした上で症状を繰り返すようなら、更に強い薬であるパルミコートを使った治療を行うことをガイドラインでは推奨しています。アレルギー専門医の間では、パルミコートの吸入は切り札的な薬と捉えられています。つまり、重症な患者さんにのみ使う薬だと思います。いきなり重症の治療だったので、お母さんも面食らったのだろうと思います。

吸入器自体は、モノにもよるでしょうが約3万円します。決して安いものでありません。私自身は、吸入器の購入を勧める患者さんは、本当にパルミコートを使わないと発作を繰り返すお子さんのみに絞っているつもりです。しかも、吸入ステロイドは、パルミコートばかりではありません。3万の出費をしなくて済む薬を選択する方法もあるのです。いずれにしても、吸入器が本当に必要かどうかは、患者さんの側に立って見極める思いやりも大切ではないかと思います。

また正直言って、ご存知ない先生方も多いでしょうが、パルミコートは専門家の間では、適切な使い方をしないと副作用が出る恐れを指摘されています。安易に使うことは厳に慎まなければならないと思います。パルミコートを使うような方は、重症な患者さんと言えます。こういう患者さんは、患者さんのためにも是非ともパルミコートを使い慣れた専門医に紹介して頂きたいと思っています。各小児科医はそれぞれ得意分野を持っているはずですから、地域の患者さんのために連携したいと切に思います。

ぜんそくの治療は焦っても仕方ありません。基本に忠実に、しかも着実に症状を軽減させるやり方で安定させるのがコツだと思います。いきなり重症の治療というのは、ちょっとと思います。第一、今回のケースのように患者さんが混乱します。その一方でぜんそくなのに“風邪”と診断されて治療としては過小と思われるケースもあります。過剰でもなく、過小でもない適切な治療が求められます。

最近は、アレルギーで困っている患者さんの受診が更に増えたように思います。症状が安定せずに特に困っている患者さんが多いと言った方がいいかもしれません。こういった患者さんのために、期待に応えられるように誠実な診療を心掛けていきたいと考えています。