小児科 すこやかアレルギークリニック

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“犠牲”
2009年02月12日 更新

最近は、パソコンで動画を観ることができます。

イチロー選手のインタビューの様子を伝える動画があり、それを観ていたら、こんなことを言っていました。「選手は観客があるから頑張れる。試合を見に来てくれる観客がいる限り、自分を犠牲にする部分を持たなければならない。」

私は、自分の職業に当てはめてみて、医師も全く同じなんだなと考えました。「医師は患者さんがいるから頑張れる。受診してくれる患者さんがいる限り、自分を犠牲にする部分を持たなければならない」

私の場合は、「自分がやらなければ」という思いが強いので、あまり“犠牲”とは考えていません。患者さんに必要と思うことは率先してやっているつもりです。

医師って聖職と言われていますが、必ずしもそうではなく、ごく一部でしょうが営利を優先する人もいるでしょう。要するに、医師という職業は良心的にも営利的にもいかようにでもなり得る訳です。利益を優先する企業と違いますので、医師本人に委ねられた部分が多いと思います。

私もボランティアでやれと言われれば、家族を養っていかなければいけないので、それは無理です。一般的に患者さんをたくさん集め、検査も点滴などの処置が多ければ医院は潤うでしょう。それが意図的であればどうかと思いますが、自然体で良心的に診療して結果的にそうなるのが理想でしょう。

当院に来られる患者さんは、調剤薬局の方の話によると「よく話を聞いてもらってありがたい」と言われるそうです。そう捉えて頂いているのなら嬉しく思います。当院は数を多く診ようとは思いません。というか、診れないというのが正直なところかもしれません。

困っている患者さんに、自分の知識をフルに活かして少しでもいい状態にもっていきたいと考えています。ある医療機関で、患者さんがお子さんの症状が心配で相談しているのに、話の途中で「次、次」と次の患者さんを呼び入れるよう看護師さんに指示し、話が最後まで聞けず、納得いかずに当院を受診された患者さんがいらっしゃいました。どんなに忙しくても、当院では自分なりの治療の方向性を納得して頂く努力は、患者さん全員に対し行っているつもりです。つまり、せわしないような時間に追われる診療はしないように心掛けています。

先日も食物アレルギーでお困りの患者さんが、100キロ以上の遠方から当院を受診して下さいました。何が食べられ何が食べられないかが混乱しており、「食物負荷試験」でシロクロをつける必要がありました。

食物アレルギーについて一から説明していたら、1時間半くらいかかってしまいました(汗)。お子さんも大きくなってきており、早めに結論を出してあげないと、精神的に食べられなくなってしまう恐れがあり「ここで自分が何とかしてあげないと」という一心で話し続けた結果でした。自分で言うのも何ですが、我ながら良心的にやっているなと思います(笑)。

アレルギー専門医なので、そうでない先生よりは、ぜんそくやアトピー、食物アレルギーなど知識や技術は持っているつもりですし、最新の知識を吸収しモノにするために学会や研究会にも積極的に参加しています。当院は遠方から重症な患者さんが受診されるケースが多いので、どんな患者さんにも的確な診断と適切な治療を行えるように、日頃から勉強していないといけないからです。

イチロー選手の言いたいことは分かるのですが、“犠牲”と考えると重荷になり兼ねません。“犠牲”でなく“努力”と変えてみると、しっくりときます。私がよく書く「企業努力」ということですね。

子どものアレルギーについて、より深く知って頂くために毎月院内勉強会を行っています。アレルギーを持つお子さんのために知って頂きたいこと、伝えたいことがたくさんあるので、今後も地道に続けていこうと思いますし、昨年10月に行った「すこやか健康フェア」も県内の食物アレルギー児に光を当てるために今後も継続していこうと考えています。

私は優秀でない分、努力なら続けられると思うし、そうしなければならないと考えています。これからもアレルギーの子ども達を中心に、誠実な医療を心掛けていきたいと思っています。