実家に帰ったときのこと。私の母が他の部屋で使っていた照明器具を自分の部屋に移設できないかと言い出しました。
DIYは結構好きなので、やってみましょうということになりました。照明器具を固定して、電源の線を2カ所つないで絶縁テープを巻く、という作業です。大きめの照明器具だったので設置さえすれば、あらかたの作業は終わっていたはずでした。
線をつないで、早速「スイッチオン!!」。使い慣れた照明器具を点灯し、母も喜ぶといったはずでした…。しかし、ピカリともしません(汗)。「やはりプロの電気屋さんでないとダメなのか?」とも考えましたが、照明自体は完璧に固定してあり、電線も2カ所しっかり結びました。しかし、そんな難しい構造になっている訳でもなく、どこかにミスがあるはずです。
取り付けは全く問題がないので、点く点かないの問題は電線の問題のはず。天井からの電線と照明器具からの電線を2カ所つないであるのを再確認しました。でも、なぜか点かない(涙)。
もう一度、電線をほどいて接続し直した時に原因が明らかになりました。電線を剥いて露出しないといけないのに、透明なビニールがまだ一部かぶっており、その部分で接続してあったので、電気が通じていなかったのです。もう一度、除幕式というか、点灯式を行い、母の笑顔がそこにはありました。
照明器具はスイッチを入れると、明るくなります。電気屋さんの仕事は点かなければ、点くまで作業は終わりません。例えば車屋さんも、愛車のブレーキの調子が悪ければ、元通りブレーキが効くように修理しないと作業を終えてはいけないのです。
医師の仕事は、病気を治療することです。治す、もしくは症状を軽減させることでしょう。患者さんの苦痛を取り去ることが求められています。
当院には、アトピー性皮膚炎の患者さんが多く受診されています。生後間もない赤ちゃんがどの医療機関にもかかっていない状態で受診されるケースは少なく、さまざまな医療機関に通院した上で、当院を初診される患者さんがほとんどだと思います。
そういう場合、決して症状が軽くないので良くならないことが多い。つまり、一筋縄ではいかないと気合いを入れなければなりません。私が必ず行っていることと言えば、診断がアトピーとキチンと診断されているかと、どういった薬が選択されているか、選択された薬をどう塗っているかの3点を確認しています。私の経験では、それで良くならない答えが見えてくると思っています。
当院を受診されるとほとんどの患者さんの皮膚症状は、次回受診時までに軽快していると思います。いや、患者さんが「いける!」と思えるような薬を選択すべきだと思います。
冒頭の照明器具の話のように、点かないとしたらそれには理由があり、アトピーに関しても全く同じだからです。念のため言っておきますが、一部の超重症な患者さんは難治性です。改善してもじきに悪化してしまう患者さんも存在します。しかし、たいていのケースでは、何が悪いのか理由を考えて対処すると皮膚を安定させることは、さほど難しくないと考えています。
当院では、皮膚症状が改善していないのに、同じ薬を出すということもしていません。自分で言うのも何ですが、それが“プロ意識”だと思いますし、答えを出すことを患者さんから求められていると思うからです。
毎日のように、皮膚が痒くてなかなか良くならないと患者さん達が当院を初診されています。当院は、アトピーのガイドライン通りの治療を行っているだけですが、「皮膚が良くなりました」、「掻かなくなりました」、「全然違いますねー」とおっしゃる患者さんの笑顔のためにも、プロ意識を胸に一人一人に誠実に対応していきたいと考えています。


