年末年始の休みがあけて、ちょっとおかしな状況になっています。
アトピー性皮膚炎の患者さんが市内外から殺到しているのです。全くの新患の患者さんが10人を超えました。どの患者さんも医療機関にかかっていたけれど、良くならないために当院を受診して下さっています。
年齢は様々で、0歳の赤ちゃんから中学生までに渡ります。どちらかというと0~2歳くらいが多いです。ほぼ全員がアトピー性皮膚炎と診断されておりません。私はどうしてか不思議でなりません。
医師の仕事は、病気による症状を改善させることですが、まずやらなければならないことは、問診をし、そして診察をし、その症状をもたらしている原因を見つけることにあります。つまり診断して病名を付けなければなりません。いつも言っている通り、「診断」なくして「治療」はないはずです。私はそれが当然のことだと思っています。
治療として、どの患者さんも保湿剤、もしくはステロイド外用剤が処方されています。一般の方の間には未だにステロイド不信の気持ちを持っている方も少なくありません。私なら「なぜステロイドが必要か」を説明しないでステロイドを処方することはまずありません。中にはステロイドが出されているのも知らずに、塗っている患者さんもいらっしゃいます。
アトピー性皮膚炎の治療は、適切なランクのステロイド外用剤を用いることです。アトピーと診断された上で、ステロイドを処方されるのは理にかなっています。しかし、「診断」が説明されないまま、治療が進んでいるケースがあまりにも多いことに違和感を覚えます。
先日受診された患者さんは、もう9歳になります。わざわざ某市から受診して下さいました。お母さん曰く「市内のいろんな病院を受診したが、どこに行っても診断名は分からなかった」そうです。開業医から病院までいくつもの医療機関を受診されていました。会社の同僚のお子さんが、当院にかかって症状が良くなったということで、遠路はるばる受診して下さったそうです。
そのお子さんはぜんそくも合併しておりましたが、結構発作が出ているのに、咳が治まるとすぐに治療を止められていました。ぜんそくも決して軽くありません。ぜんそくがあって、皮膚にも治りづらい湿疹があれば、真っ先に頭に浮かぶのはアトピー性皮膚炎です。診察時に服をたくし上げて皮膚をみただけで、アトピーと分かりました。いくつも医療機関を巡って、アトピーと診断されないのはなぜなんだろうと思います。
医師の方も、専門でないので診断が難しかったのかもしれませんし、説明したつもりだったのかもしれません。でも少なくともお母さんには伝わっていませんでした。私が「アトピーです」とハッキリ伝えたら、ガッカリする顔をすると思いきや「原因が分かって良かった」と涙ぐんでいらっしゃいました。
このお子さんは、生後間もなくから皮膚症状がみられており、9年も原因が分からなかったということになります。お母さんも、相当に心配し悩まれたことだと思います。お母さんは相当に切羽詰まった感じでしたし、藁をもつかむ思いで当院を受診されたのでしょう。
困っている人に頼られると、私は燃えます!。「オレが何とかしてやるっ」と思うのです。アトピーについても、ぜんそくについても、かなり時間をかけて説明できたと思います。
アトピー性皮膚炎は診断が難しい場合もあるし、重症だと治療に抵抗することが多いです。診断や治療の面で、医師も対応に困れば、専門医に紹介すべきでしょう。そうしないと今回の患者さんのように気の毒でなりません。
私が患者さんに言いたいことは、アトピーに限らず主治医に対して「診断名を確認して下さい」「疑問点はキチンを聞いて下さい」ということです。患者さん自身が医師に任せっぱなしというか、受け身過ぎるという印象を持っています。患者さんとしては、当然の権利なのです。忙しそうだから聞けないというのは、それは違うと思います。大切なお子さんのために遠慮なんてする必要はないのです。“納得できるまで説明を求める”、是非とも明日から実行して頂きたいと思っています。


